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7. 「筆者のnous」(2)Nous de modestie (suite) (09/10/2001)
nousは「筆者」という意味で用いられるだけではなく、筆者がなにがしかのかたちで所属する共同体、あるいは時空間上で筆者の占めている位置を漠然と指すことができます。これに対応して、その所有形容詞notre / nosもまた、さまざまな意味をあらわします。
Nos légumes ont d'abord été des plantes "à pot" (bouillie, soupe) et l'histoire de leur consommation est directement liée à celle de l'art de la poterie qui s'est développé à la période néolithique.
Jean-Jacques Péru, "Cuisine" in L'ABCdaire des légumes, Flammarion, 1997.
この文の冒頭にあるnosは、単に「我々の」ではなく、筆者の持つアイデンティティの一部を共有する人々を対象としています。ここでは、そのアイデンティティとはおそらくフランスという国土に住み、フランスの文化を自らのものとすることであり、そのニュアンスは「筆者をふくめたフランス人という集合体にとっての」と表現することができるかもしれません。「私たちフランス人にとっての野菜というのは、元来は(ポリッジやスープといった)「鍋で煮込む」植物のことであり、その消費の歴史は新石器時代に発展した陶器技術の歴史に直接結びついている。」
こうしたnous(およびその所有形容詞)は、テクストそのものだけではなく、その書かれた状況や筆者についての情報がないと正確に訳すことができません。次の例も同様です。
Ce n'est que vingt ans plus tard, au tournant de notre décennie, que les parfums mixtes, rebaptisés "androgynes", sont devenus une vraie tendance avec le raz de marée CK One de Calvin Klein.
Maïté Turonnet, "Angel" in L'ABCdaire du parfum, Flammarion, 1998.
au tournant de notre décennieは、直訳すれば「我々の十年期の節目に」ですが、テクストが書かれた時期(ここでは1998年)を知ることなしにその指し示す内容を把握することはできませんし、また訳にはそれについての情報をきちんと包含させなければなりません。「20年後、1990年代はじめになって、カルヴァン・クラインの CK Oneがもたらした衝撃によって、男女両用の香水は『アンドロギュヌス系』と名前を変え、ようやく一つの本格的な流れとなったのであった。」