2012年3月19日
平成24年厚生委員会第3号

山加朱美 
 私からは、第一号議案についてお伺いいたします。
 私は、去る十五日の予算特別委員会で申し上げましたけれども、日本は、世界に例を見ないスピードで、そして、世界に類を見ない超少子高齢社会を迎えております。福祉ニーズも多様化する中で、そのニーズに対応する福祉サービスを施策化し、充実をしていかなければなりません。
 しかし、それだけでは不十分であります。都民が必要な福祉サービスを利用できるためには、福祉サービスを提供する担い手が、その役割をしっかりと果たすことが重要であります。
 二〇〇〇年の介護保険法の施行を機に、福祉サービス提供者として、在宅サービスを中心に民間企業、また、NPO法人など、さまざまな多様な事業主体が参入をしてまいりました。しかし、社会福祉法人は、過去においても、そして現在も、そしてこれからも社会福祉事業の主たる担い手であり、そのことは変わりません。地域における福祉サービス提供の貴重な資源であります。それだけに、社会福祉法人が地域福祉をさらに担っていくためには、法人の財政基盤がしっかりとしていなければなりません。
 そこで、社会福祉法人についてお伺いをいたします。
 社会福祉法人は、公益性と非営利性を備えた法人として、さまざまな税の優遇措置を受けていますが、確認の意味で、どのような優遇措置があるのでしょうか。

松浦指導監査部長
 社会福祉法人に対しましては税法上の優遇措置がございますが、その社会福祉法人が行う事業のうち、社会福祉事業につきまして、国税においては、法人税、登録免許税、地方税におきましては、事業税、市町村民税、都民税、固定資産税、不動産取得税などが原則非課税となります。

山加朱美 
 今ご答弁をいただきましたが、社会福祉法人には、民間企業やNPO法人にはない、本当にたくさんなさまざまな税の優遇措置があります。ですから私は、この優遇措置を生かして、ぜひ地域福祉の向上にさらに貢献をしていただきたいと考えております。
 都内の社会福祉法人は、東京都に対して、毎年度、決算報告書を報告しているわけであります。例えば、介護保険事業のみを経営している社会福祉法人というのは、どのくらいあるでしょうか。
 それともう一点、法人における平成二十二年度末における余剰金、平均額はどのくらいあるでしょうか。

松浦指導監査部長 
 まず、都内における介護保険事業のみを経営している法人数でございますけれども、平成二十二年度におきまして百五十ございます。
 二十二年度末の剰余金の定義でございますが、さまざまございますが、その一つとして、当期末支払い資金残高というものがございます。これはどういうものかといいますと、法人設立から二十二年度末までの資金収支差額の合計でありまして、流動資産から引当金を除く流動負債を差し引いた額となります。
 社会福祉法人の事業規模によりまして、この当期末支払い資金残高の額はさまざまでございますけれども、都内における、介護保険事業のみを経営している社会福祉法人の平均額につきましては、約四億四百万円ということになります。

山加朱美
 介護保険事業のみを経営している都内の社会福祉法人は、特別養護老人ホームを一カ所経営しているか、また、複数経営しているかなど、その事業規模によって差はあると思うんですけれども、平均で約四億円の余剰金があるということが、今の答弁でわかりました。
 福祉サービスにおいても、サービスを向上しつつ、効率的に運営していけば、余剰金を生ずることは当然であります。重要なことは、私は先ほども申し上げましたけれども、さまざまな税の優遇措置を受け、そしてまた、社会福祉事業の主たる担い手であるわけでありますから、これを地域福祉の向上のために有効に利用してもらいたいということであります。
 私は、予算特別委員会でも、日本の将来推計人口によれば、日本は人口減少時代を迎え、高齢比率は上昇するものの、高齢者人口そのものは三十年後をピークに、その後減少していくということを申し上げました。しかし、地域に視点を転じますと、区市町村別では地域差があると思います。また、高齢者数の推移においても地域差があると思いますが、例えば、二十三区においてもばらつきはあるのでしょうか。

松浦指導監査部長
 国立社会保障・人口問題研究所の将来推計人口によりますと、区市町村別の将来人口は二〇三五年まで推計されておりまして、二〇一〇年から二〇三五年の推移で申し上げますと、六十五歳以上の高齢者人口で、二十三区において増加数が一番多い区は練馬区となりまして、十七万八千人から二十九万五千人と約十一万七千人増加し、率にしますと約六六%増というふうに推計されております。
 一方、近隣の北区におきましては、七万九千人から八万六千人と約七千人の増と推計されていまして、増加率は二十三区では一番低く、約九%増というふうにとどまります。
 このように、増加数、増加率で地域差がございます。

山加朱美 
 練馬区は私の地元なんですけれども、二十五年後、私もその中に、六六%の中に入っているのかなと思いますが、高齢者が約六六%ふえる。現在、練馬区は人口七十二万ですから、減少が減っていけば、二十五年後に二十九万五千人になるということは、一対一という割合になってまいります。また、お隣の北区が約九%しかふえない。九%と六六%、これはかなり大きな開きだと思います。ばらつきがあることがわかりました。
 介護保険法の改正で、定期巡回・随時対応型訪問介護看護などの新しいサービスが創設され、介護保険外のサービスでも、高齢者地域見守り事業や、また、配食サービスなど、社会福祉法人には、地域福祉の向上のために、地域の特性に応じた事業展開があると思います。しかし、中長期の計画性もなく、目先の計画だけで新しい事業に進出すると、経営が困難になることも当然あると思います。また、現在、経営している事業の将来性も継続的に検証する必要があると思います。
 社会福祉法人が地域福祉の向上にさらに貢献していくためには、各社会福祉法人が中長期計画を策定の上、事業展開していくことが重要であります。
 先日の予算特別委員会で、ことしの夏ごろを目途にマニュアルを作成し、中長期的な事業計画の策定を働きかけていくと都から答弁をいただいておりますが、マニュアルには、人、物、金などの面で、法人の強みと弱みをしっかりと判断した上で中長期計画を策定することを盛り込むべきと考えますが、所見を伺います。

松浦指導監査部長
 特別養護老人ホームを経営する社会福祉法人の例で申し上げますと、中長期計画を策定するには、まず、外部環境としまして、介護保険法の改正、それから報酬改定など行政の動向、地域の人口構成の変化、特別養護老人ホームの待機者数など、福祉ニーズの動向などを把握する必要がございます。
 また、内部要因としましては、その社会福祉法人の職員の年齢構成、また、資格の有無など人材の現状、さらには法人の財務状況や今後の収支見通し、建物設備の更新時期などについて分析する必要がございます。
 次に、山加理事ご指摘のとおり、福祉ニーズなどの外部環境が当該社会福祉法人にとって有利か不利か、また、新しい事業を展開するのに内部要因としての人材とか資金が十分かなどの、法人の強み、弱みというものを見きわめる必要がございます。そして、現在、経営している事業の検証とか、新しい事業の展開の是非を判断しまして、その実現に向けたスケジュールを中長期的に定めていくことになると思います。
 こうした仕組みを、ことしの夏を目途に、具体的な事例を加えまして、わかりやすくマニュアル化してまいります。

山加朱美 
 ありがとうございました。こうした中長期計画の策定マニュアル、企業や病院のためのものはよく見かけますが、社会福祉法人のためのものは余り見かけません。
 ぜひ、いいマニュアルを作成し、都内のすべての社会福祉法人に対して都が積極的に指導していただき、また、他県からも、ぜひ見本となるような、すばらしいマニュアルをつくっていただきたいと思います。
 質問を終わります。




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