2007年02月23日 平成19年度
予算特別委員会第3号
山加朱美
二月十八日、アジア最大規模の市民参加レースとなった東京マラソン二〇〇七、走る人も応援する人もまさに我がまち東京が一つになりまして、知事が大きく手を上げスタートの合図を切った瞬間、まさに大河が流れるごとく、この都庁前を三万人のランナーが流れ始めました。

私は、この大会を支えた、本当に見えない部分でしっかりと支えた皆様に心から敬意を申し上げたいと思います。

 私もちょうどテレビを見ておりましたら、そのときに、恐らく都民に迷惑がかからないようにということで道路標識がぎりぎりで変更されたと思うんですが、そのとき指揮をとっていた方が、今、地上は雨が降っています、でも、この雲の上は晴れています、皆さん、晴れたつもりでこれから仕事を頑張ってほしい。

別に飾った言葉ではない、普通の言葉だったんですが、なぜかとても感動したんですね。

きのうから大変言葉じりをとらえたり、マイナス思考の質疑が繰り返されているのを耳にいたしまして、大変このようなプラス思考の、心に感動する一言を思い出したわけでありますが、その裏では一万二千人を超えるボランティアが活動したと伺っております。

 まず、ボランティアで参加された方々は、実際にどのような場面で活躍をされたのか伺います。
熊野東京オリンピック招致本部長
東京マラソンにおきましてボランティアにお手伝いいただいた主な業務を申し上げますと、二月十六日及び十七日に開催しましたマラソンエキスポでのランナー受け付け、それから、十八日の大会当日におきましては、スタート会場ではランナー誘導、車いすランナーのケア、荷物の預かり、コースでは給水、給食、沿道整理、清掃、また、フィニッシュ会場では完走メダルの渡し、表彰、荷物返却など、大変広い範囲にわたっております。

 大会当日は、あいにくの雨にもかかわらず、ボランティアの皆さんは、ランナーに温かい声援を送りながら、長時間にわたって熱心に業務に従事していただきました。改めて感謝を申し上げたいと思います。
山加朱美
東京は今、二〇一六年のオリンピック、パラリンピックの招致へ向けて全力で取り組みを進めているわけですが、今回の東京マラソン開催によって、さまざまな角度から日本の超元気が世界に大きくアピールされたと思います。

 その一つが、今伺ったボランティアの活躍だったと思います。
スポーツのビッグイベント、競い合うスポーツの祭典であるという面だけでなく、市民がさまざまな形で参加をする、市民の祭典であるという側面もあることは当然であります。その中で、ボランティア参加の存在は大変重要な要素だと思います。

 しかし、この市民のボランティア参加について、それが単にお祭りに参加するという、その日だけの経験に終わらせてはならないと私は思っております。

欧米では、日ごろから、環境、福祉、防災等のさまざまなボランティア活動が社会の中に根づき、多くの市民がさまざまな形でボランティアに参加をしております。

しかしながら、我が国においては、日常的にボランティア活動に参加している人はまだ少なく、アメリカやイギリスでは約半数の国民が何らかのボランティア活動に参加しているのに比べ、我が国は残念ながら二割程度の参加にとどまっていると聞いております。

 しかし、最近、都民の社会への貢献意識は、団塊世代を中心に高まっております。
今後、退職を機とした積極的なボランティア参加が期待されると思います。

 そこで、都において、ボランティアやNPO等の市民活動の促進のためにどのような支援を行っているのか伺います。
渡辺生活文化局長
都は、東京都社会福祉協議会が運営する東京ボランティア・市民活動センターを都内における総合的なボランティア活動支援の拠点として位置づけ、センターを通じて市民活動に対するさまざまな支援を行っております。

 具体的には、ホームページや広報誌によって市民活動に関するイベントや支援メニューなどの情報提供を行うほか、ボランティア団体に対する会議室などの提供や会計実務等の各種相談、ボランティアリーダーなどの人材育成事業等を実施しております。
山加朱美
都がさまざまな支援を行っていることはよくわかりましたし、その支援を行うことは私も大変大切なことだと思います。
 しかし、NPO、ボランティア等と行政とが互いに適切なパートナーシップのもとに協働して公共的な課題に取り組んでいくことが本来の姿であると思います。
 そこで、都は、NPO、ボランティア等との協働をどのように推進しているのか伺います。
渡辺生活文化局長
都は、NPOやボランティア等の持つ専門性や柔軟性、機敏性などの特性を生かすことで、より都民のニーズに沿ったサービスを提供するため、社会貢献活動団体との協働に関し、推進指針やマニュアルに基づいて協働の推進を図っております。

 具体的には、自然環境の保全や美化運動、博物館や動物園でのガイドなど、NPO、ボランティアなどとの協働事業数は年々増加しておりまして、平成十七年度には百八十七の事業が実施されております。

 さらに、協働を希望する都の関係局とNPOの双方のきっかけづくりをサポートする協働マッチング事業を、平成十九年度の重点事業としてモデル実施する予定でございます。
山加朱美
次に、都における今後のボランティアの育成、あわせまして、都民が気軽にボランティア活動に参加できる機会やその場を提供することについても積極的に進めていくべきと考えますが、都の所見を伺います。
渡辺生活文化局長
都では、東京ボランティア・市民活動センターを通じて、インターネットの検索サイトを活用し、ボランティア活動の希望者に対しまして、地域別や活動分野別に検索できる募集情報を提供しております。

 また、地域のボランティアセンターとも連携し、夏の体験ボランティアキャンペーンを実施しておりまして、多くの学生を含め、毎年、八千人を超える参加を得ております。

 さらに、今後、NPO法人情報管理・提供システムを構築し、現在五千を超える、東京都が認証しておりますNPOの法人情報を都民がインターネット上で閲覧できるようにするなど、市民活動への参加を支援してまいります。
山加朱美
さて、十年後、二〇一六年の開催を目指している東京オリンピック、パラリンピックにおきましても、ボランティアの役割は大変重要であろうかと思います。

 実際、これまでのオリンピック、パラリンピックを見ましても、数万人に上る市民がボランティアなどさまざまな形で参加し、大会を支えるとともに、感動と喜びを分かち合ってまいりました。

 北京オリンピックでも、二〇〇六年八月から二〇〇八年四月まで約十万人のボランティアを募集していると聞いております。東京招致に成功した暁には、大会の運営に当たり、ボランティアの方々が積極的に活躍できる機会を設けるべきと考えますが、所見を伺います。
熊野東京オリンピック招致本部長
オリンピック及びパラリンピック大会におきまして、オリンピックムーブメントの機運の醸成あるいは運営への効果的支援など、ボランティアの果たす役割は大変重要であると考えております。

 また、ボランティアとして参加する方々にとっても、競技の感動を、選手や観客とともに現場で共有できる貴重な体験になると思います。

 二〇一六年にオリンピック及びパラリンピック大会を東京で開催することになれば、各競技会場等での案内や選手の活動支援、語学ボランティア、さらには文化交流など、さまざまな形で多くの方々にボランティアとして活躍していただきたいと考えております。
山加朱美
次に、私は、昨年の第一定例会でパラリンピック大会の位置づけについて知事にお尋ねをいたしました。その際、パラリンピック大会は、障害者の自立と社会参加を進め、障害者に対する理解を深める契機となるものとの認識を知事からご答弁いただきました。

 私は、それに加えまして、ボランティアが選手を支え、ともにパラリンピックを成功させる姿は、障害者とともに生きていくこれからの日本の共生社会のあり方を全世界に発信することにもなると確信をいたします。

 日本は間もなく世界に例のない超高齢社会を迎えます。人間はだれもが肉体の老化を避けることはできません。
だれもが障害者の立場を経験することになります。

そこでは、障害の有無を問わず、ともに生きる共助の社会の精神が広く理解されることが重要であります。

 東京で開催しようとしているパラリンピックは、こうした共助の社会の姿を示し、ノーマライゼーションの新たな方向を全世界に示す大会としていくべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。
石原知事
東京パラリンピック大会が、障害の有無を問わず、だれもが互いに尊重し、支え合いながら人間的な生活ができる社会の実現というノーマライゼーションの考え方に立つべきことは、まことに同感でございます。

 そのため、競技施設や選手村においてバリアフリーを徹底することはもちろんでありまして、東京の持つITやものづくり技術を存分に生かし、すべての人が快適に利用できる環境を整備したいと思っております。

 また、大会運営においても、選手、ボランティア、観客が一体となって感動や連帯感を共有できる方策を検討し、これまでにないパラリンピック大会のあり方を東京から発信していきたいと思っております。

 しかし、何よりも必要なことは、東京ならではのホスピタリティー、東京ならではの心の温かいもてなしを供給することだと思っております。
山加朱美
ありがとうございました。
 私は、一九六四年の東京大会、この東京オリンピックがパラリンピックの名づけ親である、この日本がパラリンピックの名づけ親であるということを以前にも申し上げました。

 ぜひとも二〇一六年東京大会におきましては、今、知事がおっしゃった、東京ならではの新たなパラリンピックを世界に向けて発信し、この首都東京の共生社会の方向性をどうか大きく打ち出していただきたいことを強く申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。

 都税収入額は、十八年度補正予算では四兆八千七百七十一億円、十九年度予算では五兆三千三十億円ですが、両年とも徴収率九七・八%を前提としています。

 (パネルを示す)ところで、グラフでわかりやすいように用意をいたしました。
過去の都税徴収率を調べてみますと、この赤い線、平成七年度、一番低いところ、九〇・二%でありました。この年度の全国地方税徴収率は九四・〇%であり、都税徴収率を三・八ポイント上回っております。その後、十二年度には、都税徴収率が全国地方税徴収率を逆転し、年々差が大きくなり、平成十六年度、都税徴収率が全国地方税徴収率を二・九ポイント上回りました。大変急激に伸びていくわけであります。

 この間、主税局では、さまざまな創意工夫を行い、徴収率の向上に努めてきたと思います。改めてこの間の徴収努力について伺います。
菅原主税局長
税務行政の適正及び公平性の確保という観点から、組織として事務運営を抜本的に見直すとともに、インターネット公売、そしてタイヤロック等の新たな滞納整理技術の導入、さらには都内区市町村と連携いたしました個人住民税対策など、さまざまな手法を駆使いたしまして都税徴収率の向上をこれまで図ってまいりました。
山加朱美
ただいまご説明をいただいたさまざまな取り組み、多くの報道機関が取り上げ、高い評価を受けたことは存じております。

 最近の取り組みでは、昨年の十一月二十二日、近未来通信の本社に対し、東京都主税局が公的機関として最初の捜索を行いました。この様子はテレビ各局のニュースでも取り上げられ、東京都としての面目も大いに上がったことと思います。

 これに端を発して、年末年始、何度か東京都主税局の捜索が各局のニュースで取り上げられておりました。先週月曜日だったと思いますが、悪質滞納者と闘う現場、東京Gメンの攻防と称しまして、私もちょっと見せていただきましたけれども、現場の皆さんは本当に体を張って、汗をかいてこの徴収率の向上につなげたと思います。

 ぜひ、この地方税の滞納による捜索について、その意義と東京都の現状についてお伺いいたします。
菅原主税局長
再三にわたる催告にも応じないような、納税に対しまして全く誠意がない滞納者に対しまして、捜索を実施し、財産の発見に努めております。

 実績といたしましては、平成十六年度六十七件でありましたけれども、平成十七年度には百七十四回、そして、平成十八年度は既に一月までに二百二十七回実施しております。
山加朱美
ところで、主税局が行っているインターネット公売、タイヤロックといった先進的な取り組みでありますが、聞くところによりますと、職員のアイデアを主税局が取り入れ、わずかな予算で大きな効果を上げたと伺っております。

職員提案制度では最優秀賞に輝いたと伺っているんですけれども、さらに、これらの取り組みについては、いまだに全国の地方公共団体等から問い合わせや視察があり、実施に移している団体もかなりに上ると伺っております。

 インターネット公売及びタイヤロックの他団体への拡大状況について、どのようになっているのか伺います。
菅原主税局長
お答え申し上げます。
 平成十六年七月に全国で初めて実施したわけでありますけれども、インターネット公売は、その後全国の自治体に拡大しておりまして、これまでに百四十六の自治体がインターネット公売を実施しております。

そして、来年度からは、やっと国税でも導入されることとなっております。
 また、平成十八年二月から東京都が本格的に実施いたしましたタイヤロックでありますけれども、その即効性が高く評価されまして、現在、五十二の自治体で導入あるいは導入予定となっております。
山加朱美
局長、そのように全国に広がることが予想されたのであれば、何かパテントでも取得してアイデア料を稼げたのではないかと思うんですが、ぜひ次の新しいアイデアのときには、そのような副収入も考えてはいかがかと思います。

これはお答えは要りません。
 ところで、もう一点、他団体との連携についてでありますが、昨年第一回定例会で我が党の矢島議員の質問に対しまして、首都圏自治体との連携をさらに深めていくとのご答弁をいただいております。

この取り組みについて、十八年度の実績及び十九年度の予定がどのようになっているのか伺います。
菅原主税局長
平成十八年度には、埼玉県、そしてさいたま市との職員相互交流を実施いたしまして、埼玉県、そしてさいたま市から長期の研修生三名を受け入れております。

そして、実際に東京都の滞納整理の現場で、捜索を初めといたしまして先進的な取り組みを体験していただいております。

 また、主税局の職員を、延べ六名でありますけれども、埼玉県、そしてさいたま市に派遣いたしまして、一緒に仕事をすることを通しまして東京都のノウハウを提供しております。

 平成十九年度は、このほかに、現時点で二県、そして二市の長期研修生を受け入れるなど、首都圏自治体とさらなる連携を深めたい、このように思っております。
山加朱美
国民年金、給食費の問題など、払わなくてもよいという風潮が蔓延する中ではありますが、東京都主税局では、全国の地方公共団体とさまざまな形で連携し、地方税全体の徴収率向上はもちろんでありますが、さらに、社会全体の公正、公平を図っていただきたいと思います。

 最後に、冒頭に述べました平成七年度の九〇・二%という徴収率と、もう一度グラフをごらんいただきます。
(パネルを示す)その後の全国地方税徴収率から算出いたしますと、この十年間の合計、何の努力もしなければこのように推移していたかもしれないわけでありますね。

この間の十年間の合計を、一兆円余りの徴税努力があったという見方もできるわけであります。

 これを高く評価いたしますとともに、ぜひ局長、パーフェクトバーニング、パワー全開で徴収率一〇〇%を目指していただきたいと思いますけれども、局長の強い決意表明をお願いいたします。
菅原主税局長
税負担の公平性の確保は、都民の方々の信頼を確保するという意味で、都政にとりましても極めて重要な課題でございます。

 平成十九年度から、全国自治体の長年にわたる悲願でございました税源移譲が、一部でありますけれども実現されますけれども、今後、地方分権を確立する上で、さらなる税源移譲を国に求めていくためにも、着実に徴収するということが極めて重要な課題である、このように思っております。

 局といたしましては、唯一の歳入所管局といたしまして、今度ともさまざまな創意工夫を凝らしながら、局一丸となり、また、全国の自治体とも連携をいたしまして、さらなる徴収率の向上に全力を尽くしてまいりたい、このように思っております。
山加朱美
ぜひよろしくお願い申し上げます。
 次に、都立病院の経営に関して伺います。

 都立病院は、これまで、三百六十五日二十四時間、トータルな救急医療サービスを提供する東京ERの設置など、都民に対する医療サービスの充実に取り組んできたことは高く評価をいたしますが、本日は、病院の経営効率向上の観点から何点か伺います。

 現在、都立病院に限らず、病院経営をめぐっては、国の医療制度改革の流れの中にあって、大変厳しい運営を余儀なくされていると思います。

 病院の収入源である診療報酬は平成十四年度以降マイナスの改定が続き、直近の十八年度改正ではマイナス三・一六%という過去最大の大幅な削減となっています。

 こうした状況の中、都立病院が今後も都民に高度で良質な医療を提供していくためには、何よりも経営基盤の強化が必要であります。

 そして、経営体質を健全化していくためには、収入の増が見込まれにくいのであれば、可能な限り支出を抑制していかなければならないのは当たり前のことであります。
 経費削減の視点から病院運営に関する費用を見ますと、人件費が大きな比率を占めておりますが、この人件費を減らすということは、医師や看護師などの医療スタッフの人材確保の観点からも困難であると思います。

しかし、薬品などの材料費は、工夫次第ではコストの削減が可能なのではないかと考えます。

そこで、まず、都立病院の薬品や診療材料等の材料費の額、また、全費用に占める材料費の割合はどの程度なのか、平成十九年度の予算ベースで伺います。
大塚病院経営本部長
平成十九年度の病院会計予算案で申しますと、薬品費が約百六十九億円、注射器やカテーテル等の診療材料費が約九十三億円、給食材料費が約十四億円、その他消耗品を含めまして材料費総額といたしましては約二百七十七億円でございます。
 病院事業費用全体に占める材料費総額の割合は約二割となっております。
山加朱美
都立病院の事業規模の大きさを改めて認識いたしましたが、約二百八十億円に上る材料費の縮減を図るための方策が、私は一つの大きなかぎになると思います。

 病院経営本部では十八年度から診療材料などの共同購入を実施していると聞いておりますけれども、この共同購入とはどういうものか、また、なぜ共同購入を導入しようとしたのか伺います。
大塚病院経営本部長
共同購入と申しますのは、従来、病院ごとに購入していた薬品や診療材料などを本部において一括して購入するものでございます。

 これまで、各病院では、経営コストを削減するために、採用薬品数を抑制したり、低コストの診療材料を購入するなど、それぞれが個別に地道な努力を行ってまいりました。

 これに対して、共同購入は、全病院分を本部でまとめて契約することで、契約数量を飛躍的に拡大する結果、スケールメリットを生かしまして一層のコスト削減を図ろうとするものでございます。

 加えて、購入契約を本部が一括して行うことになるため、各病院での調達事務の軽減が図られるという効果もございます。
山加朱美
一括購入のメリットは、契約規模が大きければ、当然その効果も大きなものと期待できるわけですが、実際の契約では理論どおりうまくいっているのか、また、平成十八年度の実施内容とその成果はどのようなものだったのか伺います。
大塚病院経営本部長
平成十八年度は導入初年度でありましたことから、まず、医師、看護師、医療技術系職員などの代表者で構成いたします共同購入実施検討会によりまして、対象品目の選定や納品体制などにつきまして具体的な検討を行った後、昨年十月から試行を始めております。

 実際の共同購入は、検査試薬につきましては広尾、大塚、豊島の三病院で使用する大半で、また、診療材料につきましては、小児三病院を除く八病院で使用するもののうち一部で開始したところでございます。

 このうち、診療材料につきましては、一層のコスト削減効果を得るため、同じ用途で使うものにつきましては、製品の標準化を行った上で購入しております。

 この結果、平成十八年度は、年間ベースに換算いたしまして約八千六百万円のコスト削減が実現できる見込みでございます。
山加朱美
十八年度は導入初年度ということで、一部の材料のみに限定しての、しかも試行的な実施にもかかわらず、年間八千六百万円、これ、大きな数字ですよね、コスト削減効果が出たのであれば、私はもっと規模を拡大して実施をしていただきたいと思います。

 また、薬品費は予算規模が百六十九億円に上るわけですから、より大きな効果が期待できるだけに、私は、都立病院は薬品の共同購入を早い段階で実施すべきと思います。

 また、今のご答弁の中で、診療材料について標準化を図ったということでしたが、購入金額の大きな薬品の標準化も行えば、さらにその効果は高く、薬品の標準化も同時に推進していくべきと考えます。

 今後の共同購入の計画はどのようなものか、また、課題である薬品の標準化に今後どう取り組んでいくのか伺います。
大塚病院経営本部長
平成十九年度は、新たに薬品と医療用ガスの共同購入を開始する予定でございます。
 また、平成十八年度に試行した検査試薬と診療材料につきましても、購入範囲を拡大いたしまして、引き続き実施いたします。

 ご指摘の薬品の標準化につきましては、コスト削減効果があるだけでなく、処方時、投薬時の間違いを防ぐという医療安全上の観点からもメリットは極めて大きいと考えております。

 このため、昨年十月、医師、薬剤師など各病院の医療スタッフの代表者で構成する検討組織を設置いたしまして、現在、薬品の標準化の具体策について鋭意検討を進めているところでございます。
山加朱美
都立病院は、現在、病院の再編整備を一気に進めているほか、都立病院医師アカデミーの設置など意欲的な改革に取り組んでおります。

 私は、こうしたドラスチックな改革も当然必要と考えますけれども、今伺ったような、同時に、地味ではありますけれども、足元からしっかりとできる経営改善へ向けた努力も大変重要であると思います。

 この共同購入を着実に成功させていただき、どうか大きな成果を上げることを期待いたします。

 冒頭でも申し上げましたが、良質な医療の安定した提供が課題になっている現在、今後、都立病院への期待はますます高まっていくものと思われます。共同購入にとどまらず、さまざまな分野でコスト削減を図るなど、都立病院の経営基盤の安定化を図り、都民の期待に十分こたえられる病院運営を行うことを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。

 認知症対策について伺います。
 医療の進歩により、その治療法も進んでいるようでありますが、認知症は、私も、そして知事は一回りは若く見えますけれども、高齢期においてだれもがなり得る病気であり、決して人ごとではございません。

 最近は、年齢を問わず、若年認知症も増加しております。さらに今後、団塊世代の高齢化により、認知症高齢者は大幅にふえていくと思われます。そして、一方で、ひとり暮らし、夫婦のみの世帯が今後も増加し、老老介護の負担など、家族による介護がこれまで以上に厳しくなることは明白であります。

 私は、昨年の第一定例会で、認知症に優しいまちづくりを推進することを提案いたしました。これに対し、都は、認知症高齢者を地域で支える東京会議を設置し、認知症の正しい理解の普及に努めていくとご答弁をいただきました。

 そこで、まず、東京会議及び昨年十一月から都が三カ月間にわたって行った、認知症の人が安心して暮らせるまち・東京キャンペーンを通しての成果について伺います。
山内福祉保健局長
認知症高齢者を地域で支える東京会議では、昨年七月の発足以来、多くの都民が認知症を正しく理解し、それぞれの立場で支援にかかわるきっかけづくりなどに取り組んでまいりました。

 また、お話しのキャンペーンにおいては、東京会議の呼びかけに賛同した三十七の団体、二十三の企業や区市町村との協働によりまして、認知症の方や家族を身近で見守る認知症サポーターの養成講座やシンポジウム等を幅広く開催しまして、延べ一万人を超える方々が参加いたしました。

 さらに、本年一月の第四回東京会議では、これまでの議論の集大成として、都内で暮らし、働く方々に対しまして、東京の地域特性を踏まえた支え合いの実現に向けたメッセージを取りまとめ、広く発信するなどの取り組みを行いました。

 これら一連の取り組みによりまして、認知症の方を地域で支えていく機運が確実に醸成されてきているものと考えております。
山加朱美
認知症を身近なことととらえ、正しく理解し、それぞれが自分ができることを考える、そんな機運が生まれたことは大変心強いことですし、こうした機運を今後も継続し、拡大するため、都のさらなる取り組みを求めたいと思います。

 また、今後は、この東京会議の成果も踏まえまして、認知症の人や家族に対する支援について、多面的かつ具体的に検討を深めていくべきと考えますが、都の十九年度の取り組みについて伺います。
山内福祉保健局長
都民を初め生活関連事業者などが幅広く参画した東京会議の成果を踏まえまして、認知症の方に対する具体的な支援体制の構築へと取り組みを前進させるために、平成十九年度においては、学識経験者や医療、介護の専門家等による新たな検討組織を設置することとしております。

 この検討組織におきまして、症状が進行していくそれぞれの過程に対応した医療的な支援のあり方や、一人一人の生活環境等に応じた地域における生活支援の仕組みづくりなどについて、専門的かつ具体的に検討してまいります。
山加朱美
認知症に対する関心が高まったとはいえ、周囲の誤解や偏見から、認知症の人や、またその家族が孤立したり、適切な支援がない中で、認知症の進行だけを速めてしまう事例はいまだに少なくありません。

 今後の認知症対策を実効性あるものとして都内全域に広げていくためには、机上の論、会議での議論だけではなく、早期発見、早期診断のために、かかりつけ医の認知症の対応力を向上させる研修など、支援する具体的な取り組みを展開し、検証することが必要と考えますが、今後の都の対応について伺います。
山内福祉保健局長
平成十九年度においては、お話しの、かかりつけ医の認知症への対応力を向上させる研修を拡充するなど、専門的な人材の育成に引き続き取り組んでまいります。

 また、認知症の方や家族の生活を支援するために、地域包括支援センター等を核として、地域のさまざまな団体や企業と住民が連携したネットワークの構築や、グループホーム等を活用した、地域に開かれた支援の拠点づくりなどの新たなモデル事業を開始することとしております。

 あわせて、先ほどお答えした検討組織において、これらのモデル事業の実施状況や課題を検証するとともに、さまざまな社会資源の連携・活用事例を紹介いたしまして、地域における認知症対策の都内全域への普及に努めてまいります。
山加朱美
ぜひよろしくお願い申し上げます。
 認知症対策を推進する際に、私、あわせて考慮すべきは、高齢者虐待の問題があると思うのです。

 認知症に対する、そしてまた認知症による言動の混乱が虐待の主要な原因ともいわれておりますが、虐待を受けている高齢者の七割が認知症またはその疑いのある方といわれております。

 昨年、高齢者虐待防止法が施行されましたが、養護者支援について具体的な規定がないなど、制度としてもまだまだ多くの課題が残されております。

 こうした中で、都が総合的な認知症対策を推進し、認知症の人や家族への適切な支援が広がることは、高齢者虐待の予防、未然防止を図る上でも私は大きな意味を持つものと考えます。

 今後とも、高齢者の権利擁護に向け、都がさらなる取り組みを展開されることを強く要望いたしまして、次の質問に移ります。

 全国で二百万から三百万人の潜在的感染者がいるといわれるウイルス肝炎について、我が党は、昨年のこの予算特別委員会におきまして、本年の予特の委員長であります川井委員長より、早期に確実に治療へ結びつける方策の確立、そして特に治療実態の進歩に合わせた施策の展開が強く要望されました。

 都が、我が党の要望を受け、短期間に施策を見直し、国に先駆けて、より実効ある具体的対策を構築したことを高く評価いたします。

 さて、ウイルス肝炎は四十歳以上の年齢層に多く、血液製剤の安全対策が強化され、衛生環境が改善されたことから、四十歳未満の年齢層においては、新たな感染者の発生はほとんど見られない状況であります。

 しかし、沈黙の殺人者、サイレントキラーと呼ばれるこのC型肝炎は、自覚症状に乏しく、本人が気がつかないうちに慢性肝炎から肝硬変、肝がんへと進行する、大変リスクが高い病気であるといわれております。

また、肝臓がんの九割は肝炎ウイルスを原因とするもので、その多くはC型肝炎となっております。

 都は、平成十四年度から、肝炎ウイルス対策について独自に総合的な取り組みを進めていますが、肝炎検診の未受診者はまだ多く、また、感染者の多くが治療を受けていない状況と聞いております。

 一方、今日の医学の発達によりまして、治療が難しいとされてきたC型肝炎については、完治が可能となってまいりました。

潜在的感染者を肝がん等の脅威から救うためにも、私は、徹底した肝炎ウイルス検診の促進と早期治療への確実な結びつきが大切であると思います。

 都が行う今回のウイルス肝炎受療促進集中戦略の中で、これまで以上の具体的な取り組みが求められますが、所見を伺います。
山内福祉保健局長
平成十九年度から新たに開始するウイルス肝炎受療促進集中戦略は、四十歳以上に多い潜在する感染者を早期発見、早期治療することにより、肝がんへの進行予防を目指しまして、五年間の時限的措置として実施するものでございます。

 具体的には、肝炎ウイルス検診について、区市町村で実施する四十歳以上を対象とした老人保健法による検診に加えまして、企業などでの受診機会のない方や希望者についても、身近な医療機関等で受診できるよう体制を拡充いたします。

 また、感染者の早期治療を促進するために、かかりつけ医から肝臓専門医へつなぐ肝炎診療ネットワークを整備するとともに、C型肝炎インターフェロン治療に対する医療費助成制度を創設するなど、確実な治療に結びつけてまいります。

 実施に当たりましては、本年二月に設置いたしました、肝臓専門医、東京都医師会、区市町村などで構成する東京都ウイルス肝炎対策協議会において事業の進行管理や評価を行いまして、確実に推進してまいります。
山加朱美
ぜひとも、これまで既に陽性者とわかりながら、自覚症状がないために治療を受けていない方々が一人でも多く活用されますよう、実効性のある施策展開を求めます。
 次に、今回の戦略の特徴として、新たにC型肝炎の通院医療費助成制度が創設されますが、制度の趣旨及びその内容がどのようなものか、また、我が党は、医療費助成制度につきまして、これまでも低所得者への軽減措置も求めてまいりました。あわせて所見を伺います。
山内福祉保健局長
新たな医療費助成制度は、肝がんへ進行する危険性の高いC型肝炎につきまして、インターフェロン等により完治が期待されることに着目いたしまして、早期の治療を促進するために創設するもので、平成十九年十月実施を予定しております。

 助成内容については、近年のインターフェロン治療に要する標準的な治療期間がおおむね一年であることを踏まえまして、助成期間を一年とし、その間の医療費の患者負担の軽減を図る予定でございます。

 なお、住民税非課税世帯については、患者負担がないようとするように考えております。
山加朱美
この戦略は、行政効果としても大変評価できるものですし、また、戦略の実施期間を短期集中的に五年間と区切っていることによって、私は、早期に検診、治療へ都民を促す効果も期待できるものと思っております。

 医療の進歩に合わせ、適切な医療費助成を行い、治療を促進することは大切なことであります。

 しかし、一方で、現在、入院医療費助成制度がありますが、平成十四年度のこの制度設立当初は、ウイルス肝炎の治療が入院中心であったことから、入院治療を助成することで治療を促進する効果を期待したはずであります。

 この制度は、本年九月、平成十九年九月末をもって終了すると聞いておりますが、現在、入院治療を継続している患者が、制度の見直しによって、医療費の負担の増加などにより治療の中断を余儀なくされることは決してあってはならないことであります。

 今後、現在の入院医療費助成制度について、経過措置の配慮など検討すべきと考えますが、所見を伺います。

 また、最新の治療法をもっても効果が得られない患者、家族などへの支援も必要と考えますが、あわせて所見を伺います。
山内福祉保健局長
現行の入院医療費助成制度につきましては、入院中心から通院中心へと変化した治療実態や、東京都ウイルス肝炎対策有識者会議の専門的報告に基づきまして、今回見直しを行ったものであります。

 現在助成を受けている方に対する経過措置につきましては、ご指摘の趣旨を踏まえまして適切に対処してまいります。

 お話しの、インターフェロンなどさまざまな治療法をもっても効果の得られない患者や、その家族などへの支援については、患者の症状等に応じた的確な指導助言を行うため、新たに肝臓専門医やケースワーカーによる専門相談を拡充してまいります。

 また、日常的な健康相談へ対応する保健所職員等のより一層の資質向上を図るなど、きめ細かな対応に努めてまいります。
山加朱美
最後に、二月一日の「広報東京都」では、平成十九年度予算編成の二つの柱の第一に、十年後の東京の姿を展望しながら積極的に都民の負託にこたえていくことが掲げられ、ウイルス肝炎通院患者に対し、国に先駆けて都独自の対策を講じるとの記載がありました。

それだけ、福祉保健行政に対する知事の思いも強いものと考えます。
 国が取り組まなければ自治体が取り組むことは、都民の健康と命を守る姿勢として極めて重要なことであります。

 最後に、知事の都民の健康を守る強い決意を伺いまして、残すところは二分でありますので、私の質問はこれで終わりますが、知事は二分以内でなくても結構なわけですから、福祉には、野党によりますと大変知事は薄いといわれておりますけど、私はそんなことはないと思っております。

どうか強い知事の思いを伺わせていただけたらと思います。お願いいたします。
石原知事
世界に類を見ないスピードで超高齢化社会に向かう中、都民が健康かつ安心して人生を楽しむことができるためにも、やはり都民個々人の方がみずから健康づくりに取り組むべきだと思いますが、しかし、それを社会が支えていく仕組みもまた必要であると思います。それは行政の責任だと思います。

 昨年末に策定しました「十年後の東京」においては、すべての都民が生涯にわたって健康に過ごせ、質の高い医療を受けられる環境を創出することといたしました。

 私の周囲にも案外C型肝炎にかかって、非常にだるさを我慢しながら頑張っている人がいるんですが、そういうものを見まして、このため、新たに平成十九年度予算において、都独自のウイルス肝炎対策に取り組むとともに、福祉・健康安心基金を設置しまして、今後、この基金を活用して戦略的に施策を展開することにより、都民の健康確保に率先して取り組んでいきたいと思っております。
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資料URL  http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/2007/d6217315.htm