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★津嘉山さんの舞台を観てきました   2006/05/15

5月13日、北千住のシアター1010で行われた青年座の舞台『殺陣師段平』を観劇してきました。一番の目的は、津嘉山さんを生で拝見することでした。津嘉山さんは去年軽い脳梗塞で入院され、その後『クロスオーバーイレブン2005』で復帰されましたが、あのときの放送はリハビリを兼ねての収録だったそうで、その声にやや痛々しさを感じざるを得ませんでした。その後はリハビリに専念され、今年この『殺陣師段平』の再演で舞台にも復帰されたわけです。(以下は若干ネタバレしていますので、これから観にいく予定がある方は読まないでください。)

まずは津嘉山さん、お元気でした。舞台から直接響いてくる津嘉山さんの声は、かつてのしっかりとした低音の、それでいてよく通る、魅力あふれる美声そのものでした。またこの舞台の見所である殺陣のシーンは、とても迫力があり圧倒されました。とりわけ最後の殺陣のシーンで、段平が中風になりながらも、たった片方の腕だけで、相手を次々と倒していくところ。決して早い立ち回りではないのですが、「写実」を超えた「真実」の動き一つ一つに、段平の殺陣師としての魂が感じられました。全身が熱くなり、見ているだけで涙があふれそうになりました。その殺陣をやっている最中、津嘉山さんから汗がほとばしり出るのが見えました。これが62歳にしてできる殺陣の動きであることを思うと、本当にスゴイの一言に尽きます。

僕は今回初めてプロの劇団の舞台を観たのですが、ほかの出演者の演技もすばらしく、また作、演出、音楽、音響、照明、舞台美術、衣裳、殺陣などのスタッフも、それぞれにひとつの舞台を作り上げるためにすばらしい仕事をしているなと思いました。(ちなみに今回の殺陣は國井正廣さんでした。國井さんはかつて津嘉山さんが出演した『NINAGAWA・マクベス』の殺陣も担当されたそうで、このときの殺陣も観てみたかったものです。) そもそも『殺陣師段平』は演劇の裏方を取り扱った芝居であり、この作品が劇団青年座50周年記念公演として選ばれたというのは、舞台に携わるさまざまな人たちの熱い思いがあるのだろうと感じました。

『クロスオーバーイレブン2005』の『熱帯夜』というスクリプトもそうでしたが、この『殺陣師段平』の物語も、どこか津嘉山さんご自身の人生と重なるものがあったように思います。不思議なものです。とにかく津嘉山さん、完全復活です。これなら、今後また『クロスオーバーイレブン』の復活があっても大丈夫だと確信しました。




★内山安雄さんからメールをいただきました   2006/02/20