日本にはセンニンソウ(クレマチス)属の植物が、11節25種類自生しています。中でも大輪園芸種の交配親として重要な位置いあるカザグルマや八重咲き交配種の親となるユキオコシが自生しています。
レッドデータブック(日本の絶滅のおそれのある野生生物)の植物版には、カザグルマが絶滅危急種(絶滅に向けて進行しているとみなされる種・絶滅の方向に向かっていると判断された種)に分類されています。世界に誇るべきカザグルマの変異を、紹介します。
カザグルマ(Clematis patens Morr. et Decne.)
日本(秋田県〜九州)、中国東北部から朝鮮半島に分布。白〜青紫、覆輪等の花弁の変異とともに、蕾の無毛〜多毛まで、蕾のいろの緑色から赤い色をした個体まで変異に飛んでいる。中には、本当にカザグルマなのと疑いたくなるような個体もある。花の名前の由来は、子供の玩具の風車がもとになっている。

カザグルマ |

カザグルマ |
ユキオコシ(C.yukiokosi)
自生地不明。八重咲きクレマチスの親として重要な位置にいます。、
その他に、日本自生の品種には、
ハンショウズル(C.japonica Thunb)
本州〜九州に分布。花は、赤紫色で釣鐘型の花を咲かせます。地域によっての変異は、カザグルマ程ではないが花の大きさが地域によって差があるようです。花の名前の由来は、花の型によるものです。

ハンショウズル |
その他に、変異種として
コウヤ(高野)ハンショウヅル、
シコクハンショウヅル等がある。

コウヤハンショウヅル |
ミヤマ(深山)ハンショウヅル(Clematis.ochotennsis(Pall.)poiret.)
日本(本州・赤高山帯〜北海道)、中国東北部〜カムチャツカに分布。地域による花色の個体差がある。 山野草界でも人気がある。

ミヤマハンショウヅル |
シロバナハンショウヅル(Clematis williamsii A。Gray)
関東〜九州に分布。よくシロハンショウヅルと混同されがちであるが、ハンショウヅルの白花タイプがシロバナハンショウヅルなので間違えないように。開花時期4月。

シロ
ハンショウヅル |

シロバナ
ハンショウヅル |
クロバナハンショウヅル(Clematis fusca Turcz)
北海道、朝鮮半島北部〜カムチャッカに分布。地域により個体変異が多い。草丈、着花の方法が異なる。カザグルマと共に絶滅危急種。山野草としても人気がある。開花時期5月。

クロバナ
ハンショウヅル |
クサボタン(Clematis stans Sieb. et
Zucc.)
本州〜九州にかけて分布。つる性ではなく低木になる。株により雄花・雌花の違いが認められることも多い。名前の由来は、大きな葉が牡丹の葉に似ているところから付いたようです。開花時期8月〜9月。
ボタンヅル(Clematis apiifolia
DC.)
日本(本州以南)、中国〜朝鮮半島に分布。ヨーロッパには江戸時代に渡来している。開花時期8月。
センニンソウ(Clematis terniflora
DC.)
北海道(南部)〜沖縄、韓国南部〜中国大陸に分布。自生している場所では開花時には群がって咲くので遠くからでも発見しやすい。名前の由来は、花後の種子が白いひげをたくわえた仙人の趣があるのでこの名前がついたようです。開花時期9月。
タカネハンショウヅル(Clematis lasianndra Maxim.)
西日本から中国大陸に分布。花はハンショウヅルに似ている、晩秋に咲くクレマチス。開花時期10月。

タカネハンショウヅル |
その他にもいくつかの自生種があるが今回は割愛します。