小桜インコの羽根色
小桜インコは大変に美しい羽根をもっています。あの羽根色がどうして産まれてくるのだろうと
考えた事はありませんか。
ここでは、小桜インコの羽根の色について書いてみました。


. 一般的に鳥の色には次の3つの色素が関係しています。

メラニン:4種のメラニンが知られています。このうちで、黒を発色するためのオイメラニンと茶色を発色するフェノメラニンが羽根色と深く関係しています。
カロチノイド:数種が知られています。一般的な赤(エリスロフィルス)から、一般的な黄色(キサントフィルス)まであります。この内の数種の色素がラブバードに見られます。
ポルフィリン:明るい赤、黄色、緑です。ポルフィリンはラブバードにはあまり重要ではないように思われます。
 ラブバードの色は、メラニン色素(オイメラニンとフェオメラニン)がカロチノイド(ピシッタサイン)と干渉しあってうまれる色です。また羽根のなかの、クラウディセル(メラニンが含まれる細胞)のと呼ばれる場所で、明るい光線の散乱が起こるとあのラブバードの独特の光り輝く色になります。

現在、鳥の羽根色の遺伝について、すべて解明されているわけではありません。
私たちがショップなどで見かける小桜インコの色変わりについては、羽根の色を変化させるあるメカニズ ムの存在があると言われています。小桜インコに起こる羽根色の変化の多くは、色素分裂によるものです。
羽根色が無数に変化していくのは、上に書いた色素の量が細胞中で少なくなったり多くなったり、色同士が干渉しあったりして変化をもたらした結果です。
色変わりが産まれるメカニズムについては、次のものが現在確認されています。

メラニズム(メラニン系)--メラニンの過剰生産か、またはメラニンが存在している場所が正常位置ではないかのどちらかをいいます。
ダイリューション--色素全体かまたはある色素に限ってのどちらかですが、色素の欠落または減少してしまうことをいいます。
ロイシズム(白色化)--正常の場合にはあるはずの色素の一部かまたは全部が無くなってしまうことをいいます。
アルビニズム--羽根の色素が全くなくなることをいいます。赤目をしています(色素がありません)。部分的なアルビノも存在します。
シゾクロニズム(色素分裂)--現在3種が知られています。
(1)ファウン--オイメラニンが部分的または全体的に無くなってしまうことです。フェオメラニンが残り、これは羽根色に茶色を発現します。目は明るい茶色から赤に近い色になります。
(2)グレイ--フェオメラニンが部分的または全体的に無くなってしまうことです。結果として、羽根色がグレイに近い色になります。
(3)ルチノー--部分的または全体的に両方のメラニン(オイメラニン、フェオメラニン)が無くなってしまうことです。残ったカロチノイドが鳥の羽根色を黄色にします。

また、ある種の色は羽根の構造に変化を与えることがあります。3つの構造パターンがあり、次のように区別されます。
ブルー--カロチノイドが部分的または全体的に無くなってしまった場合に発現します。このブルーは、羽根の中央部分(クラウデイセル)で光が散乱し、残っているメラニン色素を通過することによって発現されます。
バイオレット--羽根の毛髄部分の直径が太くなることによって発現されます。さらに羽根の皮質、羽枝も大きくします。その結果羽根は、今まで吸収できなかった波長の長い色を吸収します。このために、波長の短い色ははね返され、羽根の色はバイオレットを発色するような波長の長い暗い色となります。光はバイレットの波長に近づきます(420〜380nm)
ダーク--羽根の中央部分(クラウデイセル)が狭くなる事によって発現されます。広範囲の光を吸収するため、羽根の色が暗くなります。いろいろな鳥類で広くこの現象がみられることがすでに書かれていて、上に述べた羽根の色に関する記述に関しては、オウム類でも同様のことです。