☆★☆ 西戸山タワーガーデン野外円形劇場 ☆★☆

「宝の持ち腐れ」とはこのことか。
新宿百人町三丁目「西戸山タワーガーデン」内には、何と300席収容の「野外円形劇場」がある。
しかし、毎年一度、野外劇があるかないかという寂しい状態だ。

天候に左右される野外での開催という難しさや、騒音に対する周辺住民の反対もあるのは確かだ。
しかし、出口のない不況下でこそ一服の清涼剤として、演劇や音楽、ダンスなどを楽しむ余裕が欲しい。
「日比谷の野音」のように、毎週末ここへ来れば催し物を楽しむことができるという場の定着を望みたい。



そんな中、地元の大久保・百人町地区で外国人との共生に関する活動を行っている「
共住懇」のプロデュースによる野外劇「レツ」が公演された。(2002年10月27日19時開演)

おおくぼ芝居 レツ

[主なスタッフ]
作/都風六平(つむじろっぺい)、構成・演出/三原四郎、舞台監督/榊忠英、演じるのは「TAC三原塾」のみなさん。

[内容]
200X年・東京・新宿。まちをめぐる愛と冒険の物語。アジアの百人の町で人びとが弾けて踊る野外の祝祭。

[あらすじ]
時はいま。ところは大久保・百人町。ちょっとだけ架空の。
 日本人ヤクモは、このまちで探偵稼業をしている。あるとき、中国人の女リリーが犬を探してほしいといってきた。犬はマレーシア人の女グロリアのもとで保護されていた。グロリアは、犬を返すかわりに恋人ジョニーを探してほしいという。グロリアの依頼を受けて探偵が歩く。エスニックレストラン、タウン紙の編集室、PC房、公園や路地の裏うらまで。
 自転車屋の親爺イサクやキムチ売りのアジュンマ(おばさん)、タウン紙スタッフのタエコにリリーが加わり、そして韓国人スギル、失業中のホームレスのエトーなど、行く先々で出会う人々を巻き込んで、まちをめぐる冒険が始まった。 やがて彼等の行く手を遮る正体不明の黒服の男がふたり。なにやら怪しい家を行き来している。彼等の目的はなにか?恋人達は再び会うことができるのか・・・



▼マレーシア人のグロリアが恋人探しをヤクモ探偵に依頼する
(バックのスライドが地元の風景を効果的に映し出す)


▼西川純代さん(元日劇トップダンサー、現日本ジャズダンス芸術協会理事)も踊りで盛り上げる


▼韓国人スギルのインターネットカフェを訪れ協力を要請 / 地元有力者がホームレスのエトーを非難する
   

▼「外国人は自分の国へ帰って暮らす方が幸せだ」と主張する地元自転車屋の親爺イサクに対し、
「外国人排斥だ」と皆いっせいに反発する
 


▼外国人との共生に理解を持ち始めた親爺イサクは、地元有力者に責められる


▼鉄砲百人隊の恰好をした親爺イサクは悩んだあげく、銃口を有力者側に向ける
 

▼グロリアの恋人ジョニーも見つかりめでたくフィナーレ


▼公演後のスタッフ紹介で、共住懇の旗を掲げる山本重幸代表と(通称)おばちゃん




多文化多民族が入り混じる地元「新宿大久保百人町地区」の抱える問題をテーマとし、
登場人物も身近な設定で、しかも、住まいのそばの野外円形劇場での公演ということで、
とてもリアルな臨場感を持ってこの野外劇を観ることができた。

開演前に心配していた「1分に1本は通る電車(JR山手線・JR埼京線・西武新宿線)の騒音」も、
この演劇に溶け込み、貴重なの効果音の一つとなった。

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