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| 花言葉☆ショートストーリー |
作 伊藤ちえこ
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☆ アネモネ ☆ うすれゆく希望 ☆ |
雨粒が窓につくる みずたまもようを ただ ぼんやりとながめてる このまま やまなければいいのに 心の中で つぶやいてみる 夢の中で走ってきた ころんでもすぐ おきあがってきた 今だって ちょっところんだだけ おきれば また走れるはず なんども説明した いいきかせているのに いうこと きかない 私の からだなのに 私の足なのに 気持ちだけがあせって からまわりしている 窓を細めにあけて 外をみた ぴしゃっと雨粒が顔にあたった ダークグレーの空に少し あかみがさして かすかに光がみえた お願いだから このままやまないで ふりだしたのなら 最後まで ふりつづけてよ はじめたのなら 最後まで 走りつづけてよ |
| ☆ アイリス ☆ 吉報、優しい心、春の便り ☆ |
春色の風が 耳元でささやいて うれしい便りが届いた いくつもの扉をたたいて 長い冬をこえて 私たちのところへ届いた ふわふわの草原に寝ころんで くちづけしたら 陽だまりのぬくもりが 肌にあふれる ほっぺを よせると やさしく瞳がとけていく 青い空に光のベールがかかり かわいい天使がノックした いつの日か 扉をあけて あえる日を大切に 手紙をかくよ 天使のぬくもりが愛しくて 祝福の手紙をかくよ |
| ☆ 忘れな草 ☆ 私を忘れないで ☆ |
あなたが悪いわけじゃない 人の心は変わっていくものだから 二人の思い出の いっぱいつまった この街を見下ろすと 風に流される涙が 星にかわった 今なら飛べるかもしれない 満天に輝く夜空へ 両手を広げて 涙の星のあいだを 飛びまわって 思い出のぬくもりで ひとつずつ とかしてゆくの 楽しかったことを とっておきの宝箱につめこんで あなたに飛ばすの 思い出だけは いつまでも忘れないでね あなたが悪いわけじゃない 人はずっと同じ場所に立っていないのだから 乗り遅れた船のチケットが 今 さよなら と言った |
| ☆ 桃の花 ☆ 恋のとりこ ☆ |
あなたの どこが好きなのかな? ブラッドピットみたいに カッコイイわけじゃない 不器用で 特別やさしいわけでもない 恥ずかしがりで おもしろいことを言うわけでもない おしゃれでもなくて 男らしくもなくて おこるとすぐ だまる でも・・ よくわからないけど 一緒にいると楽しくて いつも会いたいと思う 心がゆるんで 同じリズムが流れる よくわからないけど・・ あなたが好き! |
| ☆ たんぽぽ ☆ 愛の知らせ ☆ |
陽気な天気が 気まぐれに誘うから 君に声をかけた 海岸通りを並んで歩く 海風が君の髪をなびかせて 僕は 横顔にドキッとする ゆれる波の上で 光が踊り 君の瞳にも 光がはねる 僕の胸は 心地よいリズムを刻み 抱きしめたい気持ちでいっぱいになる そんな僕に気付かない君は 無邪気な笑顔でふりむいた 思いきって 次の日曜日に会う約束をした いつまでも君と 話していたい気持ちを無視して オレンジ色の大きな球体が海に浮かぶ そして僕の 長くせつない夜がはじまる |
| ☆ 桜 ☆ 美しい心 ☆ |
故郷へ帰る道 疲れた心を いやすように 汚れた心を 洗うように 青い空を見上げて 透き通る風を胸いっぱいに すいこんだ 頭の上から 足の先まで すべてを洗いながして なつかしい風景の中 美しい心のかけらを 手さぐりで探す 素直な私にもどって ほんとうの笑顔がほしい 忘れかけていた風景が からだの中に染みわたる なつかしそうに 「おかえり」と微笑んでくれたら 涙があふれて とまらなくなるね きっと・・ |
| ☆ すみれ ☆ 無邪気な恋 ☆ |
いつものように 肩をならべて歩く道 お日さまが うしろから追いかけて かげぼうしも並んでる みなれた風景に光がおどって 私の足もステップ気分 今日は 気持ちのいい日曜日 ふりむいて 肩に手をのせる 好き―― あなたの耳にささやいた 「急に何だよ」と 照れて立ち止まるあなたを追いこして 大きな声で「好き!」って言ってやった もうすぐ夕暮れ あなたの頬も同じ色 |
| ☆ においすみれ ☆ 秘密の恋 ☆ |
どこまでも遠く澄み渡る青い空間 どんなに離れていても 同じ空を見上げている 私の胸の中に住みついた 切ない想い 風船のように ふくらんで このまま浮かんでしまいそう 風と仲良しの白い雲 私の想いを打ち明ける 少しでいいから届けてほしい この広い空の下 どこかにいる あの人に・・ |
| ☆ スノードロップ ☆ 初恋のため息 ☆ |
最初の雪粒が舞い降りて ため息ひとつ 落し物 白い吐息にまぎれていく せっかく あなたに会えたのに 瞳があまりにまぶしくて 目を伏せてしまう 声があまりに暖かくて 言葉がとけて 頬を染める 雪が降り始めた帰り道 小さなため息 落ちていく |
| ☆ 福寿草 ☆ 幸福、幸福を招く ☆ |
南の彼方から 暖かい風がやってくると 光の妖精達が 羽ばたきはじめる 黄金に輝く翼を大きく広げて 舞い降りる時 光の粒が降ってくる 山も海も川も 光のベールに覆われていく キラキラ瞬く 幸せの星が すべての大地に 祝福を与える そう、約束通り春が来たんだよ |
| ☆ キンセンカ ☆ 別れの悲しみ、淋しさに耐える ☆ |
都会の喧騒の中 肩を並べて歩く あなたの話に 私の返す言葉 いつものリズムを刻んで 笑い声に変わる 行き交う人も 目に入らない 楽しい時間 山上湖の見えるロッジ 月明かりのテラスに座り 寄り添う無言の時間 何も話さなくても 満たされていた 誰もいない海辺に 一人たたずむ 今、流れる涙を 受けとめてくれる人がいない季節 小さな波の音に抵抗して つぶやく さよなら・・ 大好きだった人 |
| ☆ 梅 ☆ 澄んだ心、ピュアな心 ☆ |
まだ寒い春のしらせ 透明な風の中で どこまでも青く澄んだ空が 目に映る 肌寒い屋上に立ち 朝の空気を いっぱいに吸い込んで 心の色も 一緒に吐き出して 深呼吸する 限りなく透明な心で 春を迎えにいきたい あたらしい季節の色を たくさん混ぜ合わせて 透明なキャンパスにのせる 新しい私が生まれるように 春の色をたくさんパレットに出して 始まりの色をつくります |
| ☆ ヒヤシンス ☆ 嫉妬、悲しみ、悲哀 ☆ |
ブルーグレーの空に 街灯が灯る頃 心の黄昏を引きずって 家路を歩く 通りすぎる雑沓の中 あなたの右側に寄り添う人 あなたの笑顔が見つめてた 誰にも気付かれないまま ゆっくり フェードアウトしてゆく 心の動揺がこみ上げる もう終わったはずなのに 別れの言葉に鍵をかけて いつか笑顔で振り返る 思い出を 静かに守ってきたはずなのに 温かい雫が 頬を滑り落ちていく・・ |
| ☆ ポインセチア ☆ 祝福・燃える心 ☆ |
キャンドルの炎の向こうに はにかむ君の笑顔 頬を薄紅色に染めている 「キャンドルの灯りのせいよ」と みつめる君の瞳が またはにかむ 「外は寒そうだね」なんて話しながら シャンパンを注ぐ カチンとグラスをあわせて 「ずっと一緒にいようね」と約束をかわした 祝福の鐘が静かに鳴って 二人の時を包んでくれる |
| ☆ クリスマスローズ ☆ ☆ 私の心配を和らげて・私の心をなぐさめて ☆ |
一人の夜 窓から空を見上げ 遠くの あなたを想います いつも一緒がいいけれど いつも信じているけれど 不安な想いが隠せない 都会の雑沓を飛びまわる天使達 あの人の心を私に届けて下さい |
| ☆ マーガレット ☆ 恋占い・真実の愛 ☆ |
裏の原っぱで暗くなるまで 走り回っていた頃 花を編んで首飾りもつくったね 私の気に入っていたマーガレットの冠は あなたが引っ張って ちぎれてしまったね むくれ顔の私の横で笑うあなたが にくらしかった 愛してる、愛してない・・ 愛の意味もわからないのに 花びらちぎって遊んでたね 小さなカフェテラス あなたと待ち合わせ 二人の間には コップに挿した一輪のマーガレット 今でもあなたは笑ってる 今ならわかるよ 愛の意味 |
| ☆ エリカ ☆ 孤独・とても淋しいです ☆ |
窓辺のベッドに腰掛けて ながめる外はいつもと同じ風景 モノクロームの世界に月明かり 寒そうに裸の木が震えてる 目を細め 星の妖精の姿を探してみる 耳をすまし 月の天使の声を聞いてみる キラリともしない空 時計の音だけが響く部屋 足りないものは あなたの存在・・・・・ |