受難節を何故レントと呼ぶか?

 

イースターまでの46日間が受難節です。
この期間中
,キリスト教徒は,イエスの十字架上の死をしのび、
悔い改めと真摯な祈りに多くの時間を当て又
,
嗜好品を避け
食材にも配慮した日常生活を送ります。

 

(1)受難節は英語でLentと言い,そのまま日本語としても使われてきました(レント)。

Lentは断食を意味する昔のゲルマン系(古ドイツ語)の言葉から
今の英語になったものです。
イースターが英語圏を中心とした呼称と同様
,レントも英語圏中心であり、
ラテン語圏の国を初めその他の国々では
40を意味する言葉で
呼ばれております。
ラテン語で
Quadragesima,イタリア語でQuarensima,
ポルトガル語で
Quaresma,フランス語でCarêeなどです。
辞書を引くと概ね
    四旬節
-聖灰水曜日(Ash Wednesday)から復活祭までの
    日曜日を除く
40日間
となっております。
キリスト教が北方のゲルマン系民族に接した時
,

受難節が断食の期間であることから断食を意味する彼らの言葉を
用いたものと思われます。

(2)40日間については聖書に次のように記されております。

     

  1. イエスが福音を述べ伝えられる前に荒野で40日間断食され
    試練の時を過ごされた。
    (マタイ
    41,2:マルコ1章12,13:ルカ41,2
    節:)
  2. モーゼはイスラエルの民と神との契約を締結した後
    シナイ山に登り日夜
    40日過ごした。(出エジプト2418節)
  3. 預言者エリヤは日夜40日歩き続けホレブ山につき、
    神の声を聞きその使命におもむいた。
    (列王記上
    198節)

更にはノアの洪水の出来事に関し、創世記7章では洪水が
40日間地上を覆った(
17節)とあります。

(3)こうした事から
,イエスの十字架上の死をしのび
復活のの喜びを祝うまでの準備の時として
4世紀のはじめの頃から
(ニカイア公会議 
325年)40日間が守られるようになりました。
日曜日は主日の祝いの日であり、断食が中断されますので上述の
40日は
復活祭の日曜日を含めた
6日曜日を加え合計46
日になります。

(4)断食はどのように守られていたのでしょうか?

時代や地域或いは聖職者とそうでない者、聖職者でも修道僧とそうでない者
様々な形で守られてきたようです。

レント期間中、週に12度のみ食事をするとか24時間以上何も食べないとか
厳しく律するところもありましたが、一般的には
,太陽が昇っている間は
食事をせず日が沈んで夕食を取る一日一食が普通でした。
しかし時代の経過と共に食事の時間がだんだん早まり中世の初めには
昼に食事をとることが許されるようになり
,
或いは肉体労働者には
断食が免除されるとか又疲労を回復する為に途中で軽食を取る習慣も
許されるようになり数世紀前から、食事の内容(食材)を制約する他には
日常通りの習慣になったようです。

(6)レント期間中の食材については,生命を持つもの即ち肉類,魚類は
いっさい駄目で固いパンだけと言う厳しいものから鳥や魚は良いとする
緩い規律
,或いは固い殻を持つ果物,
卵から生まれるものは駄目と言うような
中間的なものなど様々であったようです。

しかし,一般的には肉類や乳製品,卵などをレントの期間中食べないのが普通で,
その事から
,
こうした厳しく律せられるレントの始まる前のカーニバル
の祭の習慣や復活祭での卵やイースターバスケットで食卓を飾る習慣に
つながってきました。

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