6月1日  「必要なことはただ一つだけ」 ルカによる福音書10章38-42節

特別伝道礼拝  伊藤悟先生  青山学院大学宗教主任・文学部助教授

「マルタとマリア」

38 一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。

39 彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。

40 マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何とも思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」

41 主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。

42 しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」

 現代社会は物・情報が溢れていて、多くのことに目移りしてしまう。しかし一人の人間の生涯の中でそれ程多くのことはできないのであって、「ワンポイント」に狙いを定めて人生を日々整えてゆくことが必要である。

 本日の聖書の箇所で主イエスは、忙しく立ち働くマルタと主イエスの足許でじっと話に耳を傾けているマリアでは、マリアを評価した。この場面で主イエスを招いたマルタは、本当に招かれていたのは自分であることに気付くことができなかった。私達も自らの意志で教会に通っているのではなく、神様の恵みによって招き入れられていることを認識すべきである。(本日の聖書の箇所では、その後のマルタについて記されていないが、これは私達に選択を求めているのである。)

 私達にとって人生を誰と歩むかは非常に重要で、それによって人生そのものが変わる。現代社会では、一人で生きることのできることが重要視されるが、人間一人では生きることができないと気付くことが本当に重要なのである。聖書は「人間は一人ぼっちではなく誰と歩むべきか」を示している書物である。ルカによる福音書は主イエスの足許が私達の居るべき場所であることを示している。(そして天の国にも私達の場所が用意されているのである。)

 「しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。」主イエスのこの言葉を覚え、主イエスの足許に居る人生を歩んでゆきたい。

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