729  「不正な管理人」  ルカによる福音書161-13

イエスは,弟子たちにも次のように言われた。「ある金持ちに一人の管理人がいた。この男が主人の財産を無駄使いしていると,告げ口をする者があった。

2そこで,主人は彼を呼びつけて言った。『お前について聞いていることがあるが,どうなのか。会計の報告を出しなさい。もう管理を任せておくわけにはいかない。』

3管理人は考えた。『どうしようか。主人は私から管理の仕事を取り上げようとしている。土を掘る力もないし,物乞いをするのも恥ずかしい。

4そうだ。こうしよう。管理の仕事をやめさせられても,自分を家に向かえてくれるような者たちを作ればいいのだ。』

5そこで,管理人は主人に借りのある者を一人一人呼んで,まず最初の人に,『わたしの主人にいくら借りがあるのか』と言った。

6『油百バトス』と言うと,管理人は言った。『これがあなたの証文だ。急いで,腰を掛けて,五十バトスと書き直しなさい。』

7また別の人には,『あなたは,いくら借りがあるのか』と言った。『小麦百コロス』と言うと,管理人は言った。『これがあなたの証文だ。八十コロスと書き直しなさい。』

8主人は,この不正な管理人の抜け目のないやり方をほめた。この世の子らは,自分の仲間に対して,光の子らよりも賢くふるまっている。

9そこで,わたしは言っておくが,不正にまみれた富で友達を作りなさい。そうしておけば,金がなくなったとき,あなたがたは永遠の住まいに迎え入れてもらえる。

10ごく小さな事に忠実な者は,大きな事にも忠実である。ごく小さな事に不忠実な者は,大きな事にも不忠実である。

11だから,不正にまみれた富について忠実でなければ,だれがあなたがたに本当に価値あるものを任せるだろうか。

12また,他人のものについて忠実でなければ,だれがあなたがたのものを与えてくれるだろうか。

13どんな召し使いも二人の主人に仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛するか,一方に親しんで他方を軽んじるか,どちらかである。あなた方は,神と富とに仕えることはできない。」

信仰とは目覚めて生きることである。ある主人が管理人の不正を知って,早速,彼をよび、決算報告を出すように命じた。

私たちの人生にも終わりがくる。私たちは,人生の刻々を,どのようにして生きているのか,なすべきは何か。

さて,不正な管理人は,主人に報告をしなければならない。この危機をどうすればよいのか,真剣に考えた末,主人に借りのあるものを一人一人呼んで,その借りを軽減してやった。

主人は,不正を見ぬいていながら,その決断を賞めた。不正によって友達を作った(金銭よりも人間関係を大切にした)からである。

神の愛は,むくいを求めない。ルカ福音書1413節に示されているように,自由な愛,お返しを求めない愛である。

イエス・キリストの十字架の愛を見つめつつ,私たちも人生を,自由な愛をもって,神と,この世に仕えてゆきたい。

BGMは、BachのPreude and Fugue(前奏曲とフーガ)作品552番です。
この作品は、中谷易功が@niftyのFMIDICLA というフォーラムで発表したMIDI作品です。



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