1月5日  「逃亡者ヨナと神の愛の大きさ」 ヨナ書11-15

                         41-11

                              東方敬信牧師

11-15

「ヨナの逃亡」

1 主の言葉がアミタイの子ヨナに臨んだ。

2 「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪はわたしの前にとどいている。」

3   しかしヨナは主から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッファに下ると、折りよくタルシシュ行きの舟が見つかったので、船賃を払って乗り込み、人々に紛れ込んで主から逃れようと、タルシシュに向かった。

4   主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、舟は今にも砕けんばかりとなった。

5 船乗りたちは恐怖に陥り、それぞれ自分の神に助けを求めて叫びを挙げ、積み荷を海に投げ捨て、舟を少しでも軽くしようとした。しかし、ヨナは船底に降りて横になり、ぐっすりと寝込んでいた。

6 船長はヨナのところに着て言った。「寝ているとは何事か。さあ、起きてあなたの神を呼べ。神が気づいて助けてくれるかもしれない。」

7 さて、人々は互いに言った。「さあ、くじを引こう。誰のせいで、我々にこの災難がふりかかったのか、はっきりさせよう。」そこで、くじを引くとヨナに当った。

8 人々は彼に詰め寄って、「さあ、話してくれ。この災難が我々にふりかかったのは、誰のせいか。あなたは何の仕事で行くのか。どこから来たのか。国はどこで、どの民族の出身なのか」と言った。

9 ヨナは彼らに言った。「わたしはヘブライ人だ。海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ。」

10 人々は非常に恐れ、ヨナに言った。「なんという事をしたのだ。」人々はヨナが、主の前から逃げてきたことを知った。彼が白状したからである。

11 彼らはヨナに言った。「あなたをどうしたら、海が静まるだろうか。」海は荒れる一方だった。

12 ヨナは彼らに言った。「わたしの手足を捕らえて海にほうり込むがよい。そうすれば、海は穏やかになる。わたしのせいで、この大嵐があなたたちを見舞ったことは、わたしが知っている。」

13 乗組員は船を漕いで陸に戻そうとしたが、できなかった。海がますます荒れて、襲いかかってきたからである。

14 ついに、彼らは主に向かって叫んだ。「ああ、主よ、この男の命ゆえに、滅ぼさないでください。無実の者を殺したいって責めないでください。主世、すべてはあなたの御心のままなのですから。」

15 彼らがヨナの手足を捕らえて海へほうり込むと、荒れ狂っていた海は静まった。

16 人々は大いに主を畏れ、いけにえをささげ、誓いを立てた。

 

41-11

1 ヨナにとって、このことは大いに不満であり、彼は怒った。

2 彼は、主に訴えた。「ああ、主よ、わたしがまだ国にいましたとき、言ったとおりではありませんか。だから、わたしは先にタルシシュに向かって逃げたのです。わたしには、こうなることが分かっていました。あなたは、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。

3 主よどうか今、わたしの命を取ってください。生きているよりも死ぬ方がましです。」

4 主は言われた。「お前は怒るが、それは正しいことか。」

5 そこで、ヨナは都を出て東の方に座り込んだ。そして、そこに小屋を建て、日射しを避けてその中に座り、都に何が起こるかを見届けようとした。

6 すると、主なる神は彼の苦痛を救うため、とうごまの木に命じて芽を出させられた。とうごまの木は伸びてヨナよりも丈が高くなり、頭の上に陰をつくったので、ヨナの不満は消え、このとうごまの木を大いに喜んだ。

7 ところが翌日の明け方、神は虫に命じて木に登らせ、とうごまの木を食い荒らさせられたので木は枯れてしまった。

8 日が昇ると、神は今度は焼けつくすような東風に吹き付けるよう命じられた。太陽もヨナの頭上に照りつけたので、ヨナはぐったりとなり、死ぬことを願って言った。「生きているよりも、死んだ方がましです。」

9 神はヨナに言われた。「お前はとうごまの木のことで怒るが、それは正しいことか。」彼は言った。「もちろんです。怒りのあまり死にたいくらいです。」

10 すると、主はこう言われた。「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。

11 それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこには、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだから。」

 ヨナ書は旧約聖書の中で最も短い物語であるが、人間の心理を深く描くと同時に神様の普遍的な愛が見事に描かれている珠玉のようなものである。 

ヨナ書が書かれた時代背景にイスラエルが民族主義にはしっていたことがあげられる。

イスラエルは苦難の歴史の中で、敵を憎み、滅亡を願うことに救いを見出そうとした。

ヨナが神様に反抗した理由の一つにも、敵国アッシリアの都ニネベの民が赦されたことへの不満がある。このような排他主義は、私達人間は誰しも多かれ少なかれ心の中に持っているものである。 しかし神様は、ヨナ(=人間)の利己的な怒りに対して、忍耐強く「とうごまの木」を用いて実物教育をされ、神様の愛がニネベの民にも及んでいることを示された。

私達人間は、このような神様の愛の驚くべき広さと強さに従おうと思う時にのみ、自分の心の狭さが少しずつ広げられていくのである。全ての人々が神様にとってかけがえのない民であることを認識して、神様の愛に従いながら、自分の身近な生活の中から隣人に接してゆくことこそ世界平和への第一歩である。

この新しい年、神様の大きな愛を信じて、教会を形成してゆきたい。

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