讃美歌第二編173番 「弟子にしてください」

敬虔な内容にあふれた黒人霊歌で、信仰生活の向上に適した歌として、翻訳にあたっては、数人の委員の原案にもとづき、編集委員会で協議して作成された苦心の作である。

19世紀の代表的な黒人霊歌集である Slave Songs of the United States; The Story of the Jubilee Singers; Hampton and Its Students あるいは Thomas Wentworth Higginson や William Barton  などの収集には含まれていない。おそらく Frederick J. Work, New Jubilee Songs as Sung by the Fisk Jubilee Singers(1902) に初めて収録されたもので、John Wesley Work, Folk Songs of the American Negro (1915)、Religious Folk Songs of the Negro (1920) などにも転載された。『讃美歌第二編』の楽譜はそれらとほぼ同じ編曲である。

1.Lord, I want to be a Christian in my heart, in my heart,
   弟子にしてください、 わが主よ。
   Lord, I want to be a Christian in my heart, in my heart.
   
でしにしてください、 わが主よ。
   In my heart, in my heart,
   こころの 底こまで、 
   Lord, I want to be a Christian in my heart, in my heart.
   
でしにしてください、 わが主よ。

2.Lord, I want to be more loving in my heart, in my heart,
   愛をましてください、

  以下は1番のパターンと同じ

3.Lord, I want to be more holy in my heart, in my heart,
   きよくしてください、

  以下は1番のパターンと同じ

4.Lord, I want to be more like Jesus in my heart, in my heart,
   まなばせてください。

    以下は1番のパターンと同じ

讃美歌第二編略解によると「18世紀に米国南部のヴァージニヤ州ハノーヴァーに伝道していた長老派教会牧師デーヴィスSamuel (Williamではない) Daviesの1756年の記録によると、黒人が入信を希望する時には同牧師のところへ来て”Lord[Sir、]I want to be a christian”(主よ[先生]、私は信者になりたい)ということになっていたという。・・・・この歌の起源は前述のデーヴィスが1748年ないし1759年にかけてヴァージニヤに伝道を行った時期と一致しており、この歌はこのことと関係があるものと見ている。」と説明している。しかし、略解がこのことを引用したフィッシャーMiles Mark Fisher著Negro Slave Songs in the United Statesにはこれを示す正確な記述はない。奴隷の所有者に対してSirよりも丁寧な意味でLordが使われた、というのは1823年の別の資料(歌ではなく)によるものであり、また、上記、讃美歌の歌詞は1924年のFenner,Religious Folk Songs of the Negroes版であるので、デーヴィスの活動と歌の内容を結びつけるには無理があるものと思われる。

背景のmidiは新たに作成しました。

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