讃美歌7番 「主のみいつみとみさかえとを」
■近時英米において礼拝の始めに最もよくうたわれる歌のひとつである。
原作者
John Samuel Bewley Monsell(1811-1875)は、イギリス国教会副司教の子としてロンドンデリー(現在の北アイルランド)に生まれ、ダブリンのTrinity Collegeを卒業後、国教会の聖職者となり、伝道牧会に当たると共に、著述と詩作とにたずさわった。彼の作った讃美歌は300以上に及び、そのうち約70が実際に用いられた。この歌は彼の“Hymns of Love and Praise、1863”に発表された明るい礼拝の歌である。■
Trinity Collegeはヨーロッパで最も由緒ある大学のひとつである。1592年にエリザベス一世によって設立され、作家のGulliver’s Travelsで有名なJonathan Swift(1667-1745)、Oscar Wilde、ノーベル文学賞作家Samuel Bechettその他多くの著名人を輩出した。近年まで主としてプロテスタントのみ入学を許されていたが、20世紀に入り女性の入学と共に、カソリックも入学資格が与えられるようになった。尚、Trinity College設立当初のアイルランドはイングランド王国の一部であり(スコットランド王国は独立国)、アイルランドが正式に独立したのは第2次世界大戦後の1949年である。■作曲は
William Fisk Sherwin(1826-88 米国人)は、15歳のときから、ロウエル・メイスン(1792-1872 讃美歌にも25曲採用されており、「米国讃美歌の父」或は「米国教育音楽の父」と称されている。)のもとで音楽を学び、ニュー・イングランド音楽学校その他で声楽の教師となり、その後、ニュー・ヨーク州ショトークワ郡(Chautauqua County)に移り、“Chautauqua 運動”の最初の音楽監督となった。この曲の曲名はMonsellであり、Monsellのこの歌詞のために作曲した原曲である。■
Chautauqua ニュー・ヨーク州の最西端で5大湖の一つエリー湖に接する恵まれた自然の環境にある地域であるが、夏を中心に毎年数十万の人がここに集まり、様々な文化的、宗教的な行事に参加することで有名である。そのきっかけを作ったのが、1874年、メソデイストの牧師John H.Vincentと協力者Lewis Millerによって始められた“夏季日曜学校”であった。当時、アメリカは南北戦争後の混乱期にあり,教会の日曜学校は子供の教育の場としても利用されていた。そこで、Vincent牧師は日曜学校教師育成の重要性を痛感し、宗派を問わず全国より日曜学校教師を集め数週間の教育を始めたものである。これがその後に宗教のみならず音楽を始めあらゆる文化活動のための集会に広がって行き“Chautauqua 運動”となり、現在は、“Chautauqua Institution”として活動の中心となっている。尚、
Chautauquaは、その名が示唆するようにアメリカ先住民(アメリカ・インデイアン)の言葉であり土地であったが(尤もアメリカ全体がそうであった)、18世紀後半から19世紀初頭にかけてこの地域の土地が白人の手に渡った。この経緯についての調査・研究がWebSiteで見る事が出来る。背景のmidiは新たに作成しました。