讃美歌482番 「なつかしくも」
■天国を望見してうたったアメリカの名歌。原作者
Phoebe Cary(フィービ・ケアリー1825-71)は、その姉アリス.ケアリーと共に、アメリカの女流作家として知られた人である。シンシナッテイに生まれ、その後ニューヨークに移った。彼ら姉妹の若き日の貧乏、大胆な首都進出、相互の細やかな愛等は当時のアメリカ女性の語り草になった。詩人としても2人は優劣がないといわれる。■この歌は、
1852年のある日曜日、教会の帰りに友人の家に寄ったとき、作ったもので興の沸くまま書き綴り、韻律も極めて不規則であった。ムーデイの伝道集会用に用いられて、 一時は非常に普及したが最近は往年ほどではない。■作曲者
Philip Phillips(1834-1895)は、「歌う巡礼者」“The Singing Pilbrim”として知られている。19歳で歌唱学校で教え始め、シンシナッテイで友人とピアノやオルガンや教会学校唱歌集などを販売するPhilip Phillips商会を経営する傍ら、自らメロデイオンの車を引いて人通りの多い街角で素晴らしい声を聞かせた。1875年のオーストラリアでの百回を越える音楽伝道を皮切りに、1877年からスリランカ、インド,エルサレム,エジプト、イタリア、英国そして日本にも旅行し、これらの経験に基づいた歌を作っている。■彼の名は、讃美歌の世界ではあまり良く知られてはいないが、後のゴスペル・シンガーの
Ira Sankeyに大きな影響を与え、19世紀のメソデイスト運動にも少なからぬ貢献をしている。1865年、リンカーン大統領が暗殺される直前、大統領はワシントンで開かれた“Christian Commission”の年次総会で,Phillipsの“Your Mission”の歌を聞いて非常に感激し,Programの裏に「自分の名前は伏せてもう一度うたって欲しい」とメモして関係者に渡した。Phillipsは,大統領の要望に応えて(アンコールの要請が大統領であることは知らずに)もう一度歌った。このメモが直接Phillipsの手に渡らなかったので,後でこのことを知ったPhillipsは大統領にプログラムへのサインをお願いし、大統領は彼の要請に応えた。このサイン入りのプログラムは現在,Rochester大学のSibley Libraryにあると言う。以上は“
The History of Marion County,Ohio”のWebSiteによる。背景のmidiは新たに作成しました。
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