讃美歌352番 「あめなるよろこび」

チャールス・ウエスレーの代表作の一つである。この歌は1747年に発表され、作者の宗教的感動を最も自然に表現した作品として、「わがたましいを愛するイエスよ(273番)」以上に愛唱され、今でも英米のあらゆる歌集に収録されて、名作の永遠性を立証している。

Charles Wesley (1707-88)はメソジスト教会の創設者John Wesley1703-91)の弟であるが,数多くの優れた讃美歌を作詞しメソジスト運動の進展に大きく貢献した。英語讃美歌作者の中の王者と目されている人である。英国に於けるメソジスト運動推進の初期の段階でウエスレイ兄弟は,様々な迫害や困難に遭遇したが,そうした中で同信の人々を鼓舞するためにおおくの讃美歌を作詞した。

作曲者John Zundel1815-1882?)はドイツ人であるが、1847年米国に渡り、ニューヨークのいくつかの教会のオルガニストを務めたあと、ブルックリンにあるプリマス教会のオルガニストとして招かれここで30年間奉仕した。この教会には、全米にその名をとどろかせた大牧師ヘンリー・ビーチャ(Henry Ward Beecher)がおり、米国人のあいだにその比類を見ない大オルガニスト,Zundelがこの教会に就任したので、当時米国では『ビーチャとザンデルを聴きにいこう』というのが流行語になったほどだと伝えられている。晩年は故郷ドイツに戻った。この曲名”Beecher”は牧師の名を記念してつけられたものである。

また、『ザンデルの曲は、ウエスレーの歌の翼となった』と言われているように、ウエスレーの歌はBeecherと言う翼をつけて全米はおろか、全世界にまで広がっていったのである。それは少し言い過ぎであるとしても、この歌は、米国の各派の讃美歌集に収録されて、米国人の最もひろく愛唱している讃美歌の一つとなったのである。

ヘンリー・ビーチャ−はハリエット・ビーチャー・ストウ(『アンクル・トムの小屋』の作者)の弟で、著名な奴隷解放論者である。

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