讃美歌30番 「あさかぜしずかにふきて」
■作詞者は実在した黒人奴隷をモデルに黒人奴隷制度の悲惨な現状を告発した歴史的名著『アンクル・トムの小屋
(Uncle Tom's Cabin)』を書いたストウ夫人Harriet B.Stowe(1811-1896)です。ストウ夫人の父は牧師、父が再婚し兄弟姉妹が13人になりましたがそのうち6人が牧師になり、ストウ夫人も牧師と結婚しましたが、青春時代の18年間を過ごしたオハイオ州の南に接するケンタッキー州が奴隷制度を許しており、その苦しみ虐待の実態を度々見たり聞いたりする機会が多く彼女とその家族は奴隷制度が如何に人間性に反するものであるかを身にしみて感じて生活していた事情があります。ストウ夫人のこの名作は1852年に出版され、感動の嵐をまきおこし、南北戦争の引き金の一つとなりました。■この賛美歌は、その翌年、
1853年、夫の転勤でマサチューセッツ州のアンドーヴァー神学校に移ったときに作られました。彼女は、朝4時半に起きて、小鳥のさえずりを聞きながら、静かに神と共にいることを感じて、祈ることを愛していました。詩編139章18節「私が目ざめるとき私はなおも、あなたと共にいます」(1955年訳)という聖句をテーマにして、この歌を書きました。新共同訳では、ここのところは「その果てを極めたいと思っても わたしはなお、あなたの中にいる。」となっています。英語では「When I awake、 I am still with you」であります。■曲はメンデルスゾーンが1830年から45年の間に作曲した48曲の旋律の美しいリリカルなピアノ曲「無言歌 Lieder ohne Worte」の中の「慰め Consolation」を賛美歌謡に編曲したもので、英米でもひろく用いられていますが、編曲者については不詳であります。
背景のmidiは新たに作成しました。
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