二編180番 『イエスのそばへのがれて行こう』

  J.T.B. Marsh 編 The Story of the Jubilee Singers, With Their Songs (1875) に4声部に編曲された版が収録された。19世紀から20世紀にかけていくつかの楽譜が出版されていて、讃美歌第二編の編曲はこれらと大きな違いがない。この歌には二重の意味が含まれていて、一説によると「地下鉄道」(奴隷逃亡の援助組織)で歌われた暗号化された歌(つまり、自由の土地に逃亡せよ、という意味)であると広く言われているが、この解釈はかなり後(たいていは1960年代以降)になって出されたものである(1977年に詳しい黒人霊歌の歴史を書いた Dena J. Epstein は、歌が暗号として使われたという証拠は見つかっていない、と言う)。ナット・ターナー(1831年にヴァージニア州で反乱を起こした奴隷たちの指導者)が反乱奴隷を招集したときに使われた歌である、とも言われるが、当時の記録に基づいての主張ではなさそうである。1920−30年代に採録された版(Odum and Johnson; MaryAllen Grissom; J. W. Work などによる)には歌詞・旋律ともに相違が見られる(また、これらは脈絡からして明らかに「奴隷逃亡の歌」ではない)。

聖書の参照箇所のヨハネの黙示録4章1節は次の通り。「その後、わたしが見ていると、見よ、開かれた門が天にあった。そして、ラッパ(trumpet)が響くようにわたしに語りかけるのが聞こえた、あの最初の声が言った。『ここへ上って来い。この後必ず起こることをあなたに示そう。』」

以下の歌詞はジュビリー・シンガーズ版である。

讃美歌の歌詞と対応して示す。尚、 “steal away”のstealは、この場合は“人の目を盗む”で,“steal away”で“人の目を盗んでこっそり去る”という意味であろう。 hain't = ain't = haven't。

 

イエスのそばへのがれて行こう

STEAL AWAY

 

(Chorus)

イエスのそばへのがれて行こう、

Steal away, steal away,

Steal away to Jesus!

ひとの世界をはなれて行こう。

Steal away, steal away home.

I hain't got long to stay here.

 

1.主は呼びたもぅ 雷のように。

 My Lord calls me,

He calls me by the thunder;

(以下、2番、3番、4番とも同じ)
ラッパは鳴りひびくよ、

The trumpet sounds it in my soul;   

主は呼びたもぅ。

I hain't got long to stay here.

 

2.主の力は大風のようだ。

Green trees are bending,

Poor sinners stand trembling;

 

3.終わりの日に罪人おののく。

Tombstones are bursting,

Poor sinners are trembling;

 

4.主は呼びたもぅ いなずまを放ち、

My Lord calls me,

He calls me by the lightning;

背景のmidiは新たに作成しました。

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