讃美歌第二編 174番 「エジプトよ、イスラエルの」(行け、モーセ)

 

原歌詞初行:When Israel was in Egypt’s land  曲名:GO DOWN, MOSES

歌詞出典:黒人霊歌             曲出典:黒人霊歌

■1861年に楽譜(ピアノ伴奏付き)を添えて出版され、楽譜付きの最初の“著作権登録された“黒人霊歌とされている(18世紀に黒人たちが歌ったといわれることがあるが、その記録や証拠はない)。当時の題名は "O! Let My People Go" (「逃亡奴隷(contraband)の歌」と説明されている)であったが、現在では "Go Down, Moses" というタイトルのほうが一般的である。ほかには "Way Down In Egypt Land" とか "When Israel was in Egypt's Land" と呼ばれることもある。

■ナッシュヴィルにあるフィスク大学(黒人大学)の合唱団ジュビリー・シンガーズがレパートリーとして歌い広め(その楽譜は1870年代に出版)、一般の歌集に収録されたり、作曲家たちによってコンサート用にも編曲されたので、19世紀から20世紀の初めにかけてかなりよく知られるようになった。囚われの身となっているイスラエル人を解放したモーセを歌ったもので、このように旧約聖書の英雄たちはしばしば黒人霊歌の題材になっている。■この歌の中のモーセとは「地下鉄道」(逃亡奴隷を助けた組織)の指導者の一人であったハリエット・タブマンを、パロはプランテーションの主人を、暗に指しているとも言われるが、この解釈は1960年ころから広まったものである。1869年に出版されたタブマンの伝記(Sarah H. Bradford, Scenes in the Life of Harriet Tubman)の中に、隠れ潜んでいる逃亡奴隷たちに出てきてもよいという合図としてタブマンは"Moses go down in Egypt" という歌を歌ったという話があるが、明らかに自分(タブマン)を指しているのではない。ある研究者は、モーセ=タブマン説を単なる「伝説」とみなしている。

■また、映画『風と共に去りぬ』の中で黒人奴隷たちがアトランタの町の中を行進しながら歌うシーンがあるが、白人たちの目の前で堂々と歌ったりするものではなく、ほとんどのプランテーションの主人たちでさえも黒人霊歌は知らなかった。なお、以下の歌詞(1番)が一般的である。

GO DOWN, MOSES

1. When Israel was in Egypt's land,

Let my people go;

Oppressed so hard they could not stand,

Let my people go.

Go down, Moses, 'way down in Egypt's land;

Tell old Pharaoh [to] let my people go.

背景のmidiは新たに作成しました。

 

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