讃美歌284番 「主のとうときみことばは」

■英語国民に愛唱される名歌である。この歌詞は1787年にJohn Rippon1751-1836)により編纂された“賛美歌選集 A Selection of Hymns from the Best Authors”に載せられているが原作者については色々の説があって未だに決定していない。

■イザヤ書2816節「それゆえ、主なる神はこう言われる。『わたしは一つの石をシオンに据える。これは試みを経た石 堅く据えられた礎の、尊い隅の石だ。信ずる者は慌てることはない。』」(cyberhymnal.脚注による)、また、ヘブライ人への手紙135節「神ご自身、『わたしは、決してあなたから離れず、決して置き去りにはしない』」6節「主はわたしの助け手。わたしは恐れない。人はわたしに何ができるだろう。」(賛美歌注による)に基づき作詞されたものであろう。いずれにせよ、この歌はこれまで多くの人に愛唱され、力と慰めの源泉となった。

■この賛美歌はアメリカ第26代大統領で日露戦争の終結に貢献しノーベル平和賞を受賞したTheodore Roosevelt(在任:1901-1909)や第一次世界大戦後の国際連盟の創設に尽力した第28代大統領Woodrow Wilson(在任:1913-1924)或いはアメリカ南北戦争の南軍司令官Robert E.Lee将軍の葬儀の際にも歌われた。

■尚、英国では18世紀の初めにイギリス賛美歌の父といわれるIsaac Watts1674-1748)が最初の讃美歌集“Hymns & Spiritual Songs 1707-1709”、“The Psalms of David Imitated・・・1709”を出版して以来、多くの優れた賛美歌が創作されたが、John Ripponの“A Selection of Hymns from the Best Authors”は、これらの付録として編集されたもので、Ripponの死後も、新たな賛美歌が加えられ版を重ねていった。John Ripponはバプテスト派の牧師としてロンドンの教会で63年間牧会にあたったが、この讃美歌集の編纂で大きな貢献をした。

■この歌詞には、クリスマスのときに歌われる賛美歌111番「神の御子は今宵しも」の旋律である“Adeste Fideles”がよく配されている。他にもいくつかの旋律が用いられており、先述の葬儀のときにどの旋律が用いられたのか興味がある。Adeste Fidelesは18世紀の初めころからカトリック教徒の間にひろくうたわれていた歌で,John Francis Wade(1711-1787 英国人)という人が浄書したCantus Diversiの中に原曲が含まれていたもので、今日では、英米のプロテスタント各派の讃美歌集に採り入れられ、クリスマスのは欠くことのできない世界的名歌となっている。

背景のmidiは新たに作成しました。

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