讃美歌174番 「起きよ、夜は明けぬ」
■マタイによる福音書
25章の「十人のおとめのたとえ」に基づいた作られたものである。花婿を待ち望む乙女達のところに花婿が到着し、物見の者が“起きよ、目覚めよ”と眠っている乙女達に叫んでいる。そして待ち望んでいた花婿の到来の喜びに溢れた内容である。このたとえは「いつも神の国の到来に備えをしておきなさい」とのキリストの諌めである。■作詞、作曲共に
Philipp Nicolai(1556-1608)である。Nicolaiは、ルターの宗教改革の後の様々な困難を戦い抜き「ルター教会の柱」とされた牧師であるが、生涯に作詞した4編の讃美歌のうち、讃美歌346番「たえにうるわしや ヤコブより出でし」とこの歌が不朽の作となった。この2編は、彼がウンナの教会に就任中、1597年から98年にかけて同地方にペストが大流行し、数千の町民がバタバタと倒れて、連日10回もの葬式を出さなければならなかった苦しみ、悲しみの中で作られたもので、翌年1599年に発表されると、瞬く間に普及したちまち独逸讃美歌史上不動の地位を占めるものとなった。これらは独逸讃美歌史上、客観的、教会的な歌から主観的、体験的なそれへの過程をなすもので、完全な韻律と豪華な作風とをもつ稀に見る作品である。■バッハのカンタータ第140番“
Wachet auf,ruft uns die Stimme 目覚めよ、とわれらに呼ばわる物見らの声”はこの曲によっている。又、この旋律は、バッハが和声付けしたものである。背景のmidiは新たに作成しました。