讃美歌U編161番 「輝く日を仰ぐとき」

■大自然の不思議な営みに感動し神を賛美したスウエーデンの牧師による一編の詩が、スウエ―デンの民謡と共にドイツ語やロシア語、英語に翻訳されアメリカに渡り1970年代にはアメリカで最も愛唱される賛美歌となった。

■曲は1800年頃のスウエ―デン民謡とある。曲名“O Store Gud”は、スウエ―デン語で詩の題名でもあり英語では“O Great God 偉大なる神”の意味である。後に著名な宣教師となったCarl Boberg牧師(1859-1940)が26歳の時の体験をもとに作詞したものである。その体験とは、彼がスウエ―デンの南東の海沿いにある美しい土地を訪問したとき、真昼の時刻に突然雷を伴う嵐に見舞われたが、それが通り過ぎた後、輝かしい太陽が照り輝き、美しい虹がかかり森の中から鳥のさえずりが聞こえてきた。この時、彼は思わず大地に跪き豊かな自然を創造された神を賛美したと言う。それから数年後、ある集会に出席したとき彼の作ったこの詩がスウエ―デンの民謡の調べで歌われているのを聴いて驚いたと言う。1886年であった。

■東ヨーロッパとロシアに接するアパラチアン山脈地方で伝道していた英国の宣教師Stuart K.Hineが1933年にウクライナの集会でこの歌に接した。スウエ―デン語からドイツ語を経てロシア語に翻訳されたものであった。そして、アパラチアン山脈の山中で原作者と類似した体験、すなわち、突然の雷雨の通過、その後のすがすがしい山並みの景色に出会い、ウクライナの集会で聞いた“O Great God”を思い出して,Hine自身の感動を作詞した。これが英語で歌われている“How Great Thou Art”である。第1節では「雷鳴りわたるとき」と歌われ、第2節では「そびゆる山にのぼり、」と歌われている。第3節以下は別に機会に追加され1948年に完成された。1954年、版権がアメリカの出版社に渡り,Billy Grahamの伝道の一環としてゴスペルシンガーGeorge Beverly Sheaによって歌われたのを契機にアメリカを中心として急速に広がっていった。尚,Carl Bobergの原作を忠実に英訳したもの“O Mighty God, When I Behold the Wonder”も讃美歌集に残っているが、“How Great Thou Art”と内容はかなり異なっているとのことである。

背景のmidiは新たに作成しました。