讃美歌154番 「地よ,声たかく」

「ギリシャ聖歌の最大の作品」といわれる名歌である。原作者ダマスコのヨハネ(John of Damascus 675-749)ダマスコの名門に生まれ、パレステイナの修道院をへてエルサレムの司祭となり84歳の生涯を終えた。「東方のトマス・アクイナス」といわれるほど偉大な神学者であったと共に,讃美歌作者としても東方の第一人者であり,「カノン」という複合形式の歌を多く作った。この歌もイースターの為のカノンの一部で,その荘厳雄大のゆえに「黄金カノンまたは「カノンの女王」といわれる。1862John M.Nealeにより英訳され”The day of resurrection!”,Henry T.Smart1813-1879,英国ロンドン生まれ)の”Lancashire”の曲が用いられてから,スコットランドで普及したが,英国では余り持ちいれられず,その後米国において非常に普及することとなった。”

Lancashire”の曲は,作曲者であるスマート牧師がLancashireのBlackburnで牧会をしていた1836年に讃美歌214番「北のはてなる氷の山(From Greenland's icy mountains)」の為に作曲した。一説では英国国教会創設(宗教改革)300年を記念して作曲されたとも言われている。しかし、この曲が今の曲名で普及するようになったのは、スコットランド長老派教会(Presbyterian)の讃美歌集The Church Hymnalに編纂された以降(1867年)であり、特に、この讃美歌集がアメリカに渡り、それまでの詩編歌中心から変わりつつあったアメリカの長老派の集会で注目を浴び、この曲が色々な讃美歌に用いられるようになってからである。因みに米国でLancashireといえば,この曲を指しているが,英国でLancashireといえば,英国聖公会のLongfellowの”Holy Spirit,truth divine”の歌詞に配されたT.Threlfallの曲を指し旋律は全く異なる。

 

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