讃美歌142番 「さかえの主イエスの」
イギリスの讃美歌の父
Isaac Watts(1674-1748)の代表作である。英語讃美歌歌中最もポピュラーな4つの歌の一つに数えられている。他の3つは,22番「めさめよわがたま」98番「あめにはさかえ」260番「ちとせの岩よ」である。曲名の”HAMBURG”の理由は分らない。作曲者Lowell Mason(1792-1872 米国)が他の讃美歌の曲としてグレゴリアン聖歌から編曲した旋律がこの讃美歌の曲となってから全米で愛唱されるようになった。HAMBURGは,もちろん原曲からずいぶんかけ離れた形になっているが,旋律の音域が僅か減5度の狭い範囲に圧縮されてうたい易く、単純な和声でありながら個性を持ち、且つ厳粛な響きを持っているため,メイスンの曲の傑作の一つに数えられている。アイザック・ワッツ牧師は
,幼時から詩才があり,1707年英国で最初の讃美歌集(Hymns and Spiritual Songs)を出版,生涯で600編以上の讃美歌を作りチャ-ルス・ウエスリーによるメソジスト運動と相俟って英国讃美歌の第2期黄金期を創出しドイツに勝るとも劣らない貢献を斯界にもたらした。(第1期は
,宗教改革から1700年頃までの詩篇歌が中心であった。)作曲者ロウエル・メイスンは
,全く独学で音楽を勉強し,音楽教育に力を注ぎ後にボストン音楽学校を設立した。アメリカで最初の「音楽博士」である。メイスンは,英国におけるジョン・B・ダイクス(1823-1876),或はそれ以上に,米国の讃美歌史上に重要な人物である。彼の曲のスタイルは,どこまでも大衆的,民謡的且つ米国的であり欧州の曲をたくさん編曲しているが,ときには原曲の姿が判らないほどに手を加え,これを米国的な,メイスン的な姿に変えてしまった。それが米国人の好みにぴったり合致し全米に広がる要因ともなった。背景のmidiは新たに作成しました。