120「いざうたえ友よ、ベツレヘムの」

イエスの生涯をうたったこの歌詞はルイ・ベンソン(Louis Fitzgerald Benson, 1855-1930)によって書かれて1899年に発表された。原詩の第1節は以下である。

O sing a song of Bethlehem, of shepherds watching there,
And of the news that came to them from angels in the air.
The light that shone on Bethlehem fills all the world today;
Of Jesus' birth and peace on earth the angels sing alway.

ー賛美歌歌詞ー  由木 康 訳
いざうたえ友よ、ベツレヘムの
まぶねに生まれし 神の子を。
かの夜の光は 今も消えず、
平和のねがいは いよよたかし。

ベンソンはアメリカの牧師・讃美歌学者であり、彼の『イギリス讃美歌史』(The English Hymn, 1915)は古典的な名著とされる。

曲は17世紀の "The Clean Contrary Way" から由来すると言われ、イギリスとアイルランドでさまざまな歌に使われてきた。アイルランドでは "The Star of the County Down" という歌で広く知られている。
 カロルの "Dives and Lazarus" の曲でもあり、ヴォーン・ウィリアムズ(Ralph Vaughan Williams, 1972-1958)はこの旋律を使って室内楽「ダイヴズとラザルスの5つの変奏曲」(Five Variants of 'Dives and Lazarus,' 1939)を作曲している。また、有名な殺人事件(1801)を扱った "Murder of Maria Marten" の曲でもある。ヴォーン・ウィリアムズは自分が監修をした The English Hymnal (1906) で "I Heard the Voice of Jesus Say" (Horatius Bonar, 1846) (『讃美歌』238番「疲れたる者よ」の原詩) の歌詞と組み合わせた。また、"Come, Let Us Use the Grace Divine" (Wesley, 1762) などいくつもの讃美歌に採用されてきた。
 曲名はヴォーン・ウィリアムズがイングランドのサセックス州にある Kingsfold という村で採譜したことによる。旋律は短調に似ているが、本来は6音音階のエオリア旋法(Aeolian mode)であって、「ソ」音にシャープが付いていない。