4月6日  「喜びをつたえる喜び」 使徒言行録826-40

                             東方敬信牧師

「フィリポとエチオピアの高官」

26 さて、主の天使はフィリポに、「ここをたって南に向かい、エルサレムからガザへ下る道に行け」と言った。そこは寂しい道である。

27 フィリポはすぐ出かけて行った。折から、エチオピアの女王カンダケの高官で、女王の全財産の管理をしていたエチオピア人の宦官が、エルサレムに礼拝に来て、

28 帰る途中であった。彼は、馬車に乗って預言者イザヤの書を朗読していた。

29 すると、“霊”がフィリポに、「追いかけて、あの馬車と一緒に行け」と言った。 

30 フィリポが走り寄ると、預言者イザヤの書を朗読しているのが聞こえたので、「読んでいることがお分かりになりますか」と言った。

31 宦官は、「手引きしてくれる人がなければ、どうして分かりましょう」と言い、馬車に乗ってそばに座るようにフィリポに頼んだ。

32 彼が朗読していた聖書の箇所はこれである。

「彼は、羊のように屠り場に引かれて行った。

毛を刈る者の前で黙している子羊のように、

口を開かない。

33 卑しめられて、その裁きも行われなかった。

だれが、その子孫について語れるだろう。

彼の命は地上から取り去られるからだ。」

34 宦官はフィリポに言った。「どうぞ教えてください。預言者は、だれについてこう言っているのでしょうか。自分についてですか。だれかほかの人についてですか。」

35 そこで、フィリポは口を開き、聖書のこの箇所から説きおこして、イエスについて福音を告げ知らせた。

36 道を進んで行くうちに、彼らは水のあるところに来た。宦官は言った。「ここに水があります。洗礼を受けるのに、何か妨げがあるでしょうか。」

38 そして、車を止めさせた。フィリポと宦官は二人とも水の中に入って行き、フィリポは宦官に洗礼を授けた。

39 彼等が水の中から上がると、主の霊がフィリポを連れ去った。宦官はもはやフィリポの姿を見なかったが、喜びにあふれて旅を続けた。

40 フィリポはアゾトに姿を現した。そして、すべての町を巡りながら福音を告げ知らせ、カイサリアまで行った。

 使徒言行録で他の使徒達とは違い伝道の専門家ではなく、「霊と知恵に満ちた評判の良い人」から選ばれる教会内部の世話役であったフィリポは、あるとき主の天使に荒涼としたガザへ行くよう言われた。フィリポは、このような境遇に嘆くことなく、神様に祈ってガザに向かい、そして道を求めていたエチオピアの宦官に出会うのである。

 この宦官は、この制度が象徴する人間不信があたりまえの世界に生き、人間らしさを失っていた。エルサレムへの旅は、彼にとって一種の巡礼であり、自分を立て直すためのものであった。しかしあと一歩のところで主の会衆に加わることができず、失望の最中で光を求めて聖書を朗読していたのである。そのときフィリポは、主イエスに用いられて宦官に主イエスの福音を告げ知らせた。宦官は、神様の方から自分に近づいてきてくださったことを知り、もう孤独ではなくなり、喜んで旅を続けた。

私達の周りにも自分を立て直したいと願っている人がいるはずである。私達はこのような人に対して、自分のことを語るのではなく、フィリポと同様に主イエスの福音が如何に素晴しいかを語ることが伝道であることに注意すべきである。

私達は、礼拝で主イエスに出会い、その福音によって背中を押されて、現実に戻って「喜びの生活」を送り、伝え、証しをしたい。そのために与えられているのが、この富士見丘教会である。

 

 

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