730 「いと高き神の子イエス」 ヨブ記2114-15節、マルコによる福音書51-20節 

                                          秋葉恭子牧師 

ヨブ記21

14      彼らは神に向かって言う。

「ほうっておいてください。

 あなたに従う道など知りたくもない。

15 なぜ、全能者に仕えなければならないのか。

  神に祈って何になるのか。」

 

マルコによる福音書5

 

1   一行は、湖の向こう岸にあるゲラサ人の地方に着いた。

2   イエスが船から上がられるとすぐに、汚れた霊に取りつかれた人が墓場からやってきた。

3   この人は墓場を住まいとしており、もはやだれも、鎖を用いてさえつなぎとめておくことはできなかった。

4   これまでにも度々足枷や鎖で縛られたが、鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、だれも彼を縛っておくことはできなかったのである。

5   彼は昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ち叩いたりしていた。

6 イエスを遠くから見ると、走り寄ってひれ伏し、

7   大声で叫んだ。「いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい。」

8   いえすが、「汚れた霊、この人から出て行け」と言われたからである。

9   そこで、イエスが、「名は何というのか」とお尋ねになると、「名はレギオン。大勢だから」と言った。

10  そして、自分たちをこの地方から追い出さないようにと、イエスにしきりに願った。

11  ところで、その辺りの山で豚の大群がえさをあさっていた。

12  汚れた霊どもはイエスに、「豚の中に送り込み、乗り移らせてくれ」と願った。

13  イエスがお許しになったので、汚れた霊どもは出て、豚の中に入った。すると、二千匹ほどの豚の群が崖を下って湖になだれ込み、湖の中で次々とおぼれ死んだ。

14 豚飼いたちは逃げ出し、町や村にこのことを知らせた。人々は何が起こったのかと見に来た。

15 彼らはイエスのところに来ると、レギオンに取りつかれていた人が服を着、正気になって座っているのを見て、恐ろしくなった。

16 成り行きを見ていた人たちは、悪霊に取りつかれた人の身に起こったことと豚のことを人々に語った。

17 そこで、人々はイエスにその地方から出て行ってもらいたいと言いだした。

18 イエスが舟に乗られると、悪霊に取りつかれていた人が、一緒に行きたいと願った。

19 イエスはそれを許さないで、こう言われた。「自分の家に帰りなさい。そして身内の人に、主があなたを憐れみ、あなたにしてくださったことをことごとく知らせなさい。」

20 その人は立ち去り、イエスが自分にしてくださったことをことごとくデカポリス地方に言い広め始めた。人々は皆驚いた、。

 

レギオン(多くの悪霊という意味)という名の汚れた霊に取りつかれていた人が、墓場に住み、大変恐れられていた。本日の箇所は、その人がイエスによってレギオンから解放されたという福音を伝える。イエスがゲラサ人の地に着くとレギオンに取りつかれていた人が「いと高き神の子イエスよ、構わないで欲しい、後生だから苦しめないで欲しい」と走り寄る。レギオンは、十字架にかかり復活されるイエスに打ち滅ぼされるのでイエスを恐れるのである。墓場に住んでレギオンに取りつかれている人は、人間がどんなにみじめな者であるかを、そのみじめな姿を描きだしている。@神から心が離れ、罪の虜となっている姿。A墓場で叫んでも死者は答えてくれず、心の叫びを受け止めてくれる人を求めて自己分裂している虚無の姿。B自分を石で打ちつける極端な自己卑下、すなわち他人の評価の中で右往左往し、自分を捉えられないという神から離れた人間の姿。私たちが聖書という物差を持っていることは本当に幸いである。多くの悪霊はイエスの奇蹟で2000匹の豚に乗り移った。イエスによってレギオンから解放され、救われた人は、奇蹟に驚いて恐れているだけの周囲の人とは対照的に、イエスに従いたいと申し出る。しかし、イエスに「自分の家に帰りなさい。主があなたにして下さったことを広めなさい」と言われ、ゲラサ人の地という異邦人の地で福音を述べ伝えた。ヨブ記の「神に祈って何になるのか、放っておいて下さい」という言葉は神から離れている人のつぶやきであるが、私たちは主から愛されていることを知るものであるから 自分が主から受けた愛を述べ伝える者となるのである。

 

ームページに戻る   み言葉に聞くに戻る