※なぜ、5,7,8条が重要なのか
3条1項の排出削減義務が確実に遵守されているかどうかを確認するためには、温室効果ガスの排出量や吸収源による吸収量を確実に推計でき、それが適切に行われるようにしなければならない。そのための国内制度がしっかり設定されること、使われる方法論すべての国が確実に適応されること、また専門家によるレビューでそれをさらに確実にすること等が必要となる。
このように京都議定書のアキレス腱ともなるような重要性があるからこそ、ボン合意では5・7・8条の要件を満たすことをメカニズムの参加条件にしたり、履行強制部できちんと守らせるような仕組みづくりとなっている。
5条1項 温室効果ガスの排出量と吸収量と推計するための国内制度の設置
・ 第一約束期間開始の1年前(2007年)までに設置
・ 「国内制度」とは:「すべての温室効果ガスの発生源からの人為的排出および吸収源による除去を推計するために、ならびに、目録情報を報告し記録するために、条約の附属書I締約国の国内でなされるあらゆる制度的、法的、および、手続的整備」
5条2項 推計方法の調整
・ 1996年にIPCCが作成した推計方法のガイドラインと違う方法を用いる場合の調整方法について
・ この調整方法は、COP/MOP1(議定書発効後第1回目の議定書締約国会議)で合意されることとなっている
7条1項 議定書3条(削減数値目標)の遵守に必要な、補足する情報の提出
(毎年提出する排出目録といっしょに提出されるもの)
(例)目録に関する情報、5条1項の国内制度の変更に関する情報、国家登録簿の変更に関する情報
7条2項 議定書の義務の遵守を示すのに必要な補足する情報の提出
(3-5年の間隔で提出される国別報告書といっしょに提出されるもの)
例:国家登録簿に関する情報、5条1項に基づく国内制度に関する情報
7条3項 7条1項、7条2項のもとで提出される情報の提出開始時点と頻度
7条4項 割当量のアカウンティングの方法
8条 専門家審査チームによる審査について
・ 国内制度、年間排出目録、国別報告書などについて審査し、報告をまとめ問題のあるものに関しては、遵守委員会に報告する。