森林浴
森林浴とは
起源
効果(5つの効果)
NK細胞について
おわりに
 
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森林浴(しんりんよく)とは
 樹木に接し精神的な癒しを求める行為。近くの公園や林を散歩する程度から登山やキャンプ、植物園見学まで幅広く森林浴に含まれる。日本では1982年に当時の林野庁などによって提唱され、長野県の赤沢自然休養林が発祥地とされる。2004年以降、森林浴の効果を科学的に検証し予防医療などに役立てる取組みが始まっている。近年は、屋久島の縄文杉どの「巨木ウオッチング」を合わせて森林浴を楽しむ人が増えてきた。


森林浴の起源
 私たち人間は生活に適した環境を作り出してきました。しかし、その中で忘れ、置き去りにしてしまった自然からの恩恵を、森林浴で感じ取ることができます。

 自然界、特に森林の中で植物が発散している「フィトンチッド」という物質の存在は、古くから知られていました。生鮮品を針葉樹の葉にのせて運搬したり、鮮魚を長屋で売り歩く姿は時代劇でも見られます。また森林の国フィンランドでは、サウナに入り白樺の葉で体をたたいて血行を良くするそうです。

 これらフィトンチッドの効果はロシアをはじめとする各国で研究され、人体にも好影響があることがわかってきたのです。肝臓の活動を高める酵素の活性化、香りによる清涼効果、生理機能の促進など、数多くの効能。また森林が生み出す空気は新鮮で、木々の香りと共に二日酔いや体調が悪いときの頭痛・吐き気も軽減してくれます。さらに渓流や滝のある森林では、空気中にマイナスイオンが充満しています。これは水が飛び散るエネルギーで空気中の電荷をマイナスにすることで生じ、肩こりの軽減やリラックス効果を促進します。空気清浄機では、人工的にマイナスイオンを発生させています。森林の中は、まさに天然の空気清浄機といえます。

 昭和57年、これら優れた効果を「健康・保養に利用し、国内の森林を活用しよう」と、当時の林野庁・秋山智英長官が提唱しました。そのキャッチフレーズの中に「森林浴」という言葉があり、この言葉が様々な分野で急速に広まりました。
 現在、森林環境を活かした「森林療法」が本格的に研究されています。

◆フィトンチッド
 「フィトン」とは植物、「チッド」とは殺すというロシア語で、「樹木から発散し、周囲の微生物などを殺す働きをもつ物質」を意味する。

◆マイナスイオン
 1999年ごろから2003年にかけて「健康によいもの」として日本ではやった流行語である。統一的な定義もなく、標榜されたさまざまな効果効能の中には科学的に研究されたものもあるが、未実証である。従い、このような現状でこれらの効果効能を謳う商品は薬事法や景品表示法に違反する。しかしマイナスイオンの効果効能を謳う業者や違法表示商品や健康本は未だに後を絶たない。これらの業者・商品・健康本は科学とは異なる価値や論理を持つ疑似科学の一分野である。「マイナスイオン」は既述したように定義が曖昧で意味が拡散しており、そのため物質が特定できるような用語ではない。
 マイナスイオン商品の解説や、健康本の著述の中には「マイナスイオンが疲労回復・精神安定を始めとする様々な健康増進効果をもたらす」と主張するものがあるが、これらの効果は客観的に証明されたものではない。

森林浴の効果(5つの効果)
  森林浴の効果は科学的なものより精神的なものが大きいといわれてきた。 科学的な効能としては樹木が発散するフィトンチッドと呼ばれる物質が作用しているとされる。特にマツ、ヒノキなどの針葉樹林ではフィトンチッドの発散量が多く、免疫力の向上などに寄与するという論文が発表されている。

・森林の空気は排気ガスなどが含まれる都市部の空気より体に優しい
・樹木の香りが心を落ち着かせ、リラックス効果をもたらす
・枝葉のさわめきが1/fの揺らぎを持っているので気持ちが安らぐ
・日常と離れた場所にくることにより雑念を忘れられる(転地効果)

 また2005年、都市部のいわゆる「お疲れサラリーマン」を被験者とした実験では、森林浴翌日の採血・採尿で生理的な変化を調査した。その結果、2泊3日の滞在によってNK細胞活性が52.6%向上したことが確認され、同時に抗がんタンパク質の濃度も上昇していることが確認された.森林の環境が免疫機能の向上に特異性を持つことが実証された

(1)フィトンチッド効果
 フィトンチッドを一言でいうと「木の香り」「森林の香り」という。 この香りが、人間にとって「リフレッシュ」「消臭・脱臭」「抗菌・防虫」の三つの恩恵を与えてくれる。自立神経が安定し、肝機能を改善したり、快適な睡眠をもたらす。

(2)マイナスイオン効果
 森の中はマイナスイオンが多く、特に滝や渓谷の近くなど細かい水飛沫が激しく発生しているところでは、マイナスイオンが多い。これは、水が飛び散るエネルギーで、空気中の電荷をマイナスにすることで生じる。
 マイナスイオンは、呼吸や皮膚から取り入れられ、血液をとおして体全体をめぐり、細胞内の脂肪を酸化して、乳酸(疲労の原因)の生成をおさえる。細胞機能を活性化させて、自律神経の機能が良くなるため、内分泌の機能も良好となり、中枢神経や末梢神経にも好影響を与え、身体全体のバランスがよくなる。

(3)緑の色彩効果
 色鮮やかな森林の森は、目を休ませ、気持ちよく落ち着かせてくれる
 (緑色)
 ・人間にとって最も明るく見やすい色:
 ・目に優しい
 ・赤や青の色に対し中間のイメージで穏やかな感じを与える
 ・人間にとって最もリラックスできる色と言われている。
 (赤色)
 ・暖かい  
 (青色)
 ・冷たいイメージ

(4)自然のハーモニー効果
 森は騒音を遮り、静かな中に枝葉が風でそよぐ音、小鳥の囀る音、せせらぎの音など自然が奏でるハーモニーで人間にやすらぎと爽快感を与えてくれる

(5)緑のフィルター効果
 緑のフィルタ―が、太陽光線の80%を吸収するため、柔らかな日差しとなり、有害な紫外線を軽減しして真夏でも木漏れ日の中で日光浴を楽しむことができる。また、沢筋の夏は緑のフィルターと谷川とが天然のクーラーの役目を果たして涼しく、冬は日が射して気候を緩和する機能をもつ

NK細胞
 先天免疫の主要因子として働く細胞傷害性リンパ球の1種であり、特に腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶に重要である。細胞を殺すのにT細胞とは異なり事前に感作させておく必要がないということから、生まれつき(natural)の細胞傷害性細胞(killer cell)という意味で名付けられた。形態的特徴から大形顆粒リンパ球と呼ばれることもある。

 NK細胞の働きの三大効果として、「抗腫瘍効果」、「抗ウイルス効果」、「抗アレルギー効果」が上げられるが免疫細胞の中でも、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)は、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用、抗アレルギー作用など、人体において生体防御機構の中心的役割を担っていることは医学界では衆知の事実であります。このNK細胞の活性化の研究は、人類に不老不死の夢を現実にする第一歩として、近年、大いに注目されているのです。 NK細胞はガン細胞を殺すエース細胞 NK細胞はリンパ球に含まれる免疫細胞の一つで、生まれつき(ナチュラル)外敵を殺傷する(キラー)能力を備えているため「ナチュラルキラー(NK)細胞」と呼ばれています。

NK細胞の役割と働き
1・NK細胞は文字通り生まれついての殺し屋。殺傷力が高く、常に体内を独自でパトロールし、ガン細胞やイ ンフルエンザなど、ウイルス感染細胞や細菌を見つけると、単独で直接殺してしまう。
2・NK細胞が欠乏すると、ガン、後天性・先天性免疫不全症状、慢性疾患、感染症、自己免疫疾患、遺伝子疾 患、行為障害などの疾病に罹りやすい。
3・NK細胞の活動があまり活発でない若者はガンに罹り易い傾向があり、加齢と共にNK細胞は減退、病原体を攻撃する機能も衰える。
4・ストレスに継続的にさらされると、NK細胞の活動が停滞しガンなどの進行が加速され、他の免疫機能に影響をおよぼす。
(参考)細胞
 生物の最も基本的な構成単位である。ウイルスを除き、全ての生物が細胞から成り立っている。細胞を持つことが生物の定義とされることもある(この場合、ウイルスは非生物に位置付けられる)。

 生物は多様であり、一つ一つの細胞が独立して生きていくような単細胞生物から、同じような細胞が集まってコロニーや群体を形成して一緒に生きていくようなもの、また一つ一つの細胞に分かれては生きていけないほどまでに特殊化した細胞からなる多細胞生物まで、様々の形態がある。ヒトは約220種類の細胞組織から構成されている

免疫細胞の種類
白血球 リンパ球 NK細胞 ナチュラルキラー細胞は文字通り生まれついての殺し屋。体内を巡回し、がん細胞やウイルス感染細胞を見つけると、単独で攻撃。白血球の15~20%を占める
T細胞 ヘルパー細胞、キラー細胞、サプレッサー細胞
B細胞 抗体を産生
単球 マクロファージ サイトカイン放出に関与
顆粒球 好中球
好酸球
好塩基球


おわりに
 NK細胞についてより知るためには、血液について知った方がより理解できると思います。血液について理解するにはこちらをクリックして下さい。
 今後、推奨コースガイド(自分で歩いてみて良いと思ったコースなど)を紹介して行きたいと考えています。(2008/01/02)