緑葉樹陰    F30号   2004.5
  桜が散り果て、多彩な表情をみせるつややかな新緑の季節を迎え、暖かく湿り気のある中山間の雑木林に黒毛和牛の母子牛に出会う。
 放牧地の雑木林は、日射や風雨、アブなどの吸血害虫からの攻撃を避ける場所として、また食草の後の休息場所として牛が利用する。
 その意味で目慣れた光景であるが、初夏のしんと静まった雑木林の中に佇み、時折牛の吐息を聞くと、思索的な雰囲気に包まれる。