角島(つのじま)(山口県豊北町)     2004年8月   

 角島は、山口県西部の日本海に浮かぶ面積4平方km、人口千人の島で、県本土から沖合2kmにある。今は橋がかかり、多くの観光客が訪れる。この島の存在を知ったのは、島に所在する牧崎牧野について、調査報告(山口県畜産試験場報告)と日本農業新聞の紹介記事を読んでからである。

   角島の名は、島の形が牛の角に似ていることに由来する。島に近い本土豊北町に「特牛(こっとい)」という地名があり、橋ができる前は島への連絡船の発着地であった。「特牛」とは重荷を負うことのできる強く大きな牡(おす)牛をいう。そこの岩が牛の形だったことからついたという。

 2000年11月に開通した角島大橋。全長1780mで離島にかかる無料の橋としては最長といわれる。潮流の向きが変わる転流時なのか、橋の向こうの海面上に、潮流がぶつかって生じる一筋のうねが見える。

 島の東側の角に当たる岬に面積4.3haの牧崎(まきざき)牧野がある。牧柵沿いに遊歩道と東屋(あずまや)が整備され公園になっている。標高20〜30mと低く、岬の突端に向けて緩傾斜し、牧野からの目線で、日本海を行き交う船が遠望できる。

 休牧中なのかウシは見あたらなかった。代わりに牧区内に不動のトラクタが放置されていた。時折、どこからともなく鳶(トビ)が現れ、海風で節くれた枯れ木や牧柵に止まり、しばし羽を休める。

 牧崎牧野から、角島灯台のあるもう一つの角を見る。この後、角島灯台に足を向けると、記念館と英国風の公園があり、こちらの角とは対照的に多くの観光客で賑わっていた。

視て歩き考:角島は奈良時代から牛の牧場があり、朝廷にも献上された由緒ある島である。橋ができてから、観光客が気軽に訪れるようになり、長らく続いた漁業と畜産の島から、観光の島へと変貌しているようである。牧崎牧野のほかに大浜牧野があり、ネットで角島灯台を背景に海岸を歩く大浜牧野の牛の写真を見て、絵のモチーフにと思ったが、牛に出会えなかったのは残念である。   詳細は角島HPで        戻る