部落差別の克服をめざして―部落問題に関するカトリック教会の基本姿勢

キリストにおける兄弟姉妹の皆さん、
そして、差別の問題に関心をもっておられるすべての皆さんへ、部落差別の克服をめざして、このメッセージをおくります。
はじめに
1 差別され圧迫されているマイノリティー・グループが、わたしたちの生きているこの世界にいまなお存在していることは、非常に嘆かわしいことです。先にローマ教皇ヨハネ・パウロ二世は、平和のメッセージ『マイノリティーの尊重なしに平和はこない』を発表し、平和の実現のためにはマイノリティーの権利を尊重することがぜひとも必要であることを強く訴えました(注1)。
 日本にも、差別を受けているさまざまなマイノリティー・グループが存在しており、その存在自体がそのまま、わたしたちの良心に向けられた切実な訴えとなっています。
特に、わが国の文化・歴史に深く根を下ろした部落差別の存在、そして、結婚、就職などにおいて受ける差別に対する被差別部落の人々の叫びは、わたしたち日本におけるカトリック教会に対する鋭い問いかけとして、日々わたしたちの心に迫り、わたしたちの魂を揺り動かしています。
 わたしたちの良心は、差別は悪であり、人間として決してゆるされることではないということをわたしたちに告げています。また、聖書は明白に、差別は罪であると告げています。たとえば使徒ヤコブは言っています。
 「わたしの兄弟たち、栄光に満ちた、わたしたちの主イエス・キリストを信じながら、人を分け隔てしてはなりません。あなたがたの集まりに、金の指輪をはめた立派な身なりの人が入って来、また、汚らしい服装の貧しい人も入って来るとします。その立派な身なりの人に特別に目を留めて、『あなたは、こちらの席にお掛けください』と言い、貧しい人には、『あなたは、そこに立っているか、わたしの足もとに座るかしていなさい』と言うなら、あなたがたは、自分たちの中で差別をし、誤った考えに基づいて判断を下したことになるのではありませんか」(ヤコブ2:1-4)。
 日本カトリック司教協議会の社会司教委員会は、日本のカトリック教会を代表して、この度、部落問題に関するカトリック教会の基本的な見解と姿勢、そして決意を表明することとなりました。どうか皆さんのご理解とご協力を切にお願いいたします(注2)。

 わたしたちの中に差別がある
 2 現代日本社会にはさまざまな差別が存在していますが、その中でも部落差別は、「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分構造に基づく」、非常に深刻で根深い、日本の社会に固有の差別であります(注3)。今日に至るまで、部落差別解決へのさまざまな努力が重ねられてさました。それにもかかわらず依然として、現在の日本社会においても結婚、就職、教育などにおける部落差別が厳存しています。そればかりでなく、本来差別があってはならないわたしたちの教会の中にも部落差別が存在していることを、わたしたちは深刻な事実として受け止めなければなりません(注4)。

 差別は克服されなければならない
 3 いかなる差別も神のみ心にかなうものではないということは、カトリック教会が今日まで伝えてきた普遍の教えです。第二バチカン公会議は次のように言っています。
 「すべての人は神の像としてつくられ、同じ本性と同じ根源をもち、キリストによってあがなわれ、神から同じ召命と目的を与えられている。したがって、すべての人が基本的に平等であることについての承認は、ますます強められなければならない。
……基本的人権に関するいかなる差別待遇も、それが社会的差別であろうと、文化的差別であろうと、あるいは性別、人種、皮膚の色、地位、言語、宗教に基づくものであろうと、それは神の意図に反するものであるから、すべて克服すべきであり、排除すべきである」(『現代世界憲章』29)。
 わたしたち日本のカトリック教会は、1987年に開かれた第一回福音宣教推進全国会議において、「弱い立場におかれた人々とともに歩む」ことこそ、わたしたち教会の基本姿勢であることを確認しました。なぜなら、この姿勢こそ、教会の創立者イエス・キリストの生さ方であり、キリストの最も基本的な教えであるからです(注5)。

 教会は部落差別の克服と解決のために努めなければならない
 4 すでに日本カトリック司教団は1984年、日本カトリック部落問題委員会を設置し、今日まで部落差別の問題に取り組んでまいりました。この度わたしたちは決意を新たにし、この取り組みをさらに発展させることを望んで全国の兄弟姉妹の皆さんに訴えます。
 わたしたち日本におけるカトリック教会に属する一人ひとりは、それぞれその立場と状況に応じ、部落差別の克服と解決のために努力しなければなりません。
 わたしたちがまずなすべきことは、自らの中にある差別を克服するということです。
そのためにはまずわたしたち自身が、教会内に存在する差別、自らおかしている差別の事実に気づかなければなりません。わたしたち教会自身が社会の差別の影響を受けていることを率直に認めるべきです。それは、教会共同体自体が回心するということを意味します。言い換えれば、わたしたちが、教会としてのあり方、組織、制度、習慣、典礼、祭儀、信仰教育等を見直し刷新していくということです。日々回心を新たにし、自らを差別から解放する過程を歩むことによって、教会は、日本社会の中で、いわばパン種として、社会のあり方をより福音の精神にかなったものに変え、また、部落差別の解決のためによりよい貢献をすることができると信じます(注6)。

差別克服と解決のためになすベきこと
5 教会共同体が回心するために、わたしたちはいま具体的に何をすることができるでしょうか。
まず、差別克服と解決のために祈ることが大切です。また、その実現のため皆で力を合わせていかなければなりません。そこで次の点につきまして、皆さんのご理解とご協力を切にお願いしたします。
(1)各教区においてはできるだけ速やかに、具体的に部落問題をあつかう機関(たとえば「部落問題委員会」)を設置するよう努力します。
(2)各修道会、宣教会にも同様の機関の設置を要望します。
(3)カトリック学校に対しては部落差別をはじめとする差別問題をあつかう人権教育のカリキュラムを確立するよう要望します。
 以上の課題を実現するためには多くの方々の努力と忍耐、理解と協力を必要とします。日本カトリック部落問題委員会は、日本各地におけるカトリック信者の部落差別克服と解決のための努力を支援することを目的として設立された、部落問題についての司教団の専門機関です。同委員会は今後も、各教区、修道会、宣教会、カトリック学校等における部落問題への取り組みのよき相談相手となり、必要有益な情報と援助を提供いたしますのでどうかご活用ください(注7)。

 キリストにおける兄弟姉妹の皆さん、
「あなたがたは自由を得るために召し出されたのです」(ガラテア5・13)。
自由とはまずわたしたち自身が差別することから解放されることです。
 わたしたちに真の自由を与えてくださる、主イエス・キリストの恵み、神の愛、聖霊の交わりが皆さんとともにありますように。アーメン。
   1992年9月18日
      日本カトリック司教協議会
           社会司教委員会


(1)1989年世界平和の日(元旦)の教皇メッセージ。『ともにだれと…』(上・下、カトリック中央協議会発行)の上、63−77ページに収録。
(2)社会司教委員会は、日本のカトリック教会の司教たちで構成する日本カトリック司教協議会の中で、社会問題を担当する司教委員会である。
(3)『同和対策審議会答申』(1965年)で次のように述べられている。部落差別は、「日本社会の歴史的発展の過程において形成された身分制度に基づく差別により、日本国民の一部の集団が経済的、社会的、文化的に低位の状態におかれ、現代社会においても、なおいちじるしく基本的人権を侵害され、とくに、近代社会の原理として何人にも保障されている市民的権利と自由を完全に保障されていないという、もっとも深刻にして重大な社会問題」(第一部の一)であり、「その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」(前文)。
(4)1990年に大阪教区で行われた教会内の部落問題に関する意識調査の報告書『部落問題とカトリック』(大阪教区カトリック部落問題を考える会、編集)は、教会内には、一般社会と何ら変わることなのない差別体質が存在していることを示している。資料のお問い合わせは、日本カトリック部落問題委員会へ(京都市中京区河原町通り三条上ルカトリック会館五階 電話075−223−2291)。
(5)日本カトリック司教団教書『ともに喜びをもって生きよう』(1987年、カトリック中央協議会発行、3−10ページ、特に4−6ページ)参照。
(6)第二回福音宣教推進全国会議課題「家庭の現実から福音宣教のあり方を探る」発表に際しての司教団メッセージ(『カトリック新聞』1992年7月19日号)参照。
(7)日本カトリック部落問題委員会は、社会司教委員会のもとでカトリック教会として部落差別の問題に取り組んでいる。

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水平社設立宣言

 全國に散在する吾が特殊部落民よ團結せよ。
 長い間虐められて來た兄弟よ、過去半世紀間に種々なる方法と、多くの人々とによってなされた吾等の爲めの運動が、何等の有難い効果を齎らさなかった事實は、夫等のすべてが吾々によって、又他の人々によって毎に人間を冒涜されてゐた罰であったのだ。そしてこれ等の人間を勦るかの如き運動は、かえって多くの兄弟を堕落させた事を想へば、此際吾等の中より人間を尊敬する事によって自ら解放せんとする者の集團運動を起せるは、寧ろ必然である。
 兄弟よ、吾々の祖先は自由、平等の渇迎者であり、實行者であった。陋劣なる階級政策の犠牲者であり男らしき産業的殉教者であったのだ。ケモノの皮剥ぐ報酬として、生々しき人間の皮を剥ぎ取られ、ケモノの心臓を裂く代價として、暖い人間の心臓を引裂かれ、そこへ下らない嘲笑の唾まで吐きかけられた呪はれの夜の惡夢のうちにも、なほ誇り得る人間の血は、涸れずにあった。そうだ、そして吾々は、この血を享けて人間が~にかわらうとする時代にあうたのだ。犠牲者がその烙印を投げ返す時が來たのだ。殉教者が、その荊冠を祝bウれる時が來たのだ。
 吾々がエタである事を誇り得る時が來たのだ。
 吾々は、かならず卑屈なる言葉と怯懦なる行爲によって、祖先を辱しめ、人間を冒涜してはならなぬ。そうして人の世の冷たさが、何んなに冷たいか、人間を勦る事が何んであるかをよく知ってゐる吾々は、心から人生の熱と光を願求禮讃するものである。
 水平社は、かくして生れた。
 人の世に熱あれ、人間に光りあれ。


綱領
一、特殊部落民は部落民自身の行動によって絶対の解放を期す
一、吾々特殊部落民は絶対に経済の自由と職業の自由を社会に要求し以て獲得を期す
一、吾等は人間性の覚醒し人類最高の完成に向って突進す


決 議
一、吾々に對し穢多及び特殊部落民等の言行によつて侮辱の意志を表示したるときは徹底的糾弾を為す。
一、全國水平社本部に於て吾等團結の統一を圖る爲め月刊雑誌『水平』を発行す。
一、部落民の絶対多数を門信徒とする東西両本願寺が此際我々の運動に對して包蔵する赤裸々なる意見を聴取し其の回答により機宜の行動をとること。
右決議す
   大正11年3月3日
         全國水平社創立大會


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世界人権宣言(日本外務省による仮訳文)

前  文
 人類社会のすべての構成員の固有の尊厳と平等で譲ることのできない権利とを承認することは、世界における自由、正義及び平和の基礎であるので、
 人権の無視及び軽侮が、人類の良心を踏みにじった野蛮行為をもたらし、言論及び信仰の自由が受けられ、恐怖及び欠乏のない世界の到来が、一般の人々の最高の願望として宣言されたので、
 人間が専制と圧迫とに対する最後の手段として反逆に訴えることがないようにするためには、法の支配によって人権保護することが肝要であるので、
 諸国間の友好関係の発展を促進することが、肝要であるので、
 国際連合の諸国民は、国際連合憲章において、基本的人権、人間の尊厳及び価値並びに男女の同権についての信念を再確認し、かつ、一層大きな自由のうちで社会的進歩と生活水準の向上とを促進することを決意したので、
 加盟国は、国際連合と協力して、人権及び基本的自由の普遍的な尊重及び尊守の促進を達成することを誓約したので、
 これらの権利及び自由に対する共通の理解は、この誓約を完全にするためにもっとも重要であるので、
 よって、ここに、国際連合総会は、
 社会の各個人及び各機関が、この世界人権宣言を常に念頭に置きながら、加盟国自身の人民の間にも、また、加盟国の管轄下にある地域の人民の間にも、これらの権利と自由との尊重を指導及び教育によって促進すること並びにそれらの普遍的かつ効果的な承認と尊守とを国内的及び国際的な漸進的措置によって確保することに努力するように、すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準として、この世界人権宣言を公布する。

第1条
 すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもって行動しなければならない。

第2条
1 すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる。
2 さらに、個人の属する国又は地域が独立国であると、信託統治地域であると、非自治地域であると、又は他のなんらかの主権制限の下にあるとを問わず、その国又は地域の政治上、管轄上又は国際上の地位に基づくいかなる差別もしてはならない。

第3条
 すべて人は、生命、自由及び身体の安全に対する権利を有する。

第4条
 何人も、奴隷にされ、又は苦役に服することはない。奴隷制度及び奴隷売買は、いかなる形においても禁止する。

第5条
 何人も、拷問又は残虐な、非人道的な若しくは屈辱的な取扱若しくは刑罰を受けることはない。

第6条
 すべて人は、いかなる場所においても、法の下において、人として認められる権利を有する。

第7条
 すべての人は、法の下において平等であり、また、いかなる差別もなしに法の平等な保護を受ける権利を有する。すべての人は、この宣言に違反するいかなる差別に対しても、また、そのような差別をそそのかすいかなる行為に対しても、平等な保護を受ける権利を有する。

第8条
 すべて人は、憲法又は法律によって与えられた基本的権利を侵害する行為に対し、権限を有する国内裁判所による効果的な救済を受ける権利を有する。

第9条
 何人も、ほしいままに逮捕、拘禁、又は追放されることはない。

第10条
 すべて人は、自己の権利及び義務並びに自己に対する刑事責任が決定されるに当っては、独立の公平な裁判所による公正な公開の審理を受けることについて完全に平等の権利を有する。

第11条
1 犯罪の訴追を受けた者は、すべて、自己の弁護に必要なすべての保障を与えられた公開の裁判において法律に従って有罪の立証があるまでは、無罪と推定される権利を有する。
2 何人も、実行の時に国内法又は国際法により犯罪を構成しなかった作為又は不作為のために有罪とされることはない。また、犯罪が行われた時に適用される刑罰より重い刑罰を課せられない。

第12条
 何人も、自己の私事、家族、家庭若しくは通信に対して、ほしいままに干渉され、又は名誉及び信用に対して攻撃を受けることはない。人はすべて、このような干渉又は攻撃に対して法の保護を受ける権利を有する。

第13条
1 すべて人は、各国の境界内において自由に移転及び居住する権利を有する。
2 すべて人は、自国その他いずれの国をも立ち去り、及び自国に帰る権利を有する。

第14条
1  すべて人は、迫害を免れるため、他国に避難することを求め、かつ、避難する権利を有する。
2  この権利は、もっぱら非政治的犯罪又は国際連合の目的及び原則に反する行為を原因とする訴追の場合には、援用することはできない。

第15条
1  すべて人は、国籍を持つ権利を有する。
2  何人も、ほしいままにその国籍を奪われ、又はその国籍を変更する権利を否認されることはない。

第16条
1  成人の男女は、人種、国籍又は宗教によるいかなる制限をも受けることなく、婚姻し、かつ家庭を作る権利を有する。青年の男女は、婚姻中及びその解消に際し、婚姻に関し平等の権利を有する。
2  婚姻は、両当事者の自由かつ完全な合意によってのみ成立する。
3  家庭は、社会の自然かつ基礎的な集団単位であって、社会的及び国の保護を受ける権利を有する。

第17条
1  すべて人は、単独で又は他のものと共同して財産を所有する権利を有する。
2  何人も、ほしいままに自己の財産を奪われることはない。

第18条
すべて人は、思想、良心及び宗教の自由に対する権利を有する。この権利は、宗教又は信念を変更する自由並びに単独で又は他の者と共同して、公的に又は私的に、布教、行事、礼拝及び儀式によって宗教又は信念を表明する自由を含む。

第19条
すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見を持つ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む。

第20条
1  すべての人は、平和的集会及び結社の自由に対する権利を有する。
2  何人も、結社に属することを強制されない。

第21条
1  すべての人は、直接に又は自由に選出された代表者を通じて、自国の政治に参与する権利を有する。
2  すべて人は、自国において等しく公務につく権利を有する。
3  人民の意思は、統治の権力の基礎とならなければならない。この意思は、定期のかつ真正な選挙によって表明されなければならない。この選挙は、平等の普通選挙によるものでなければならず、また、秘密投票又はこれと同等の自由が保障される投票手続きによって行われなければならない。

第22条
すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し、かつ、国家的努力及び国際的協力により、また、各国の組織及び資源に応じて、自己の尊厳と自己の人格の自由な発展とに欠くことのできない経済的、社会的及び文化的権利を実現する権利を有する。

第23条
1  すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する。
2  すべての人は、いかなる差別をも受けることなく、同等の勤労に対し、同等の報酬を受ける権利を有する。
3  勤労する者は、すべて、自己及び家族に対して人間の尊厳にふさわしい生活を保障する公正かつ有利な報酬を受け、かつ、必要な場合には、他の社会的保護手段によって補充を受けることができる。
4  すべて人は、自己の利益を保護するために労働組合を組織し、及びこれに参加する権利を有する。

第24条
すべて人は、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇を含む休息及び余暇を持つ権利を有する。

第25条
1  すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する。
2  母と子は、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。

第26条
1  すべて人は、教育を受ける権利を有する。教育は、少なくとも初等の及び基礎の段階においては、無償でなければならない。初等教育は、義務的でなければならない。技術教育及び職業教育は、一般に利用できるものでなければならず、また、高等教育は、能力に応じ、すべての者に等しく開放されていなければならない。
2  教育は、人格の完全な発展並びに人権及び基本的自由の尊重の強化を目的としなければならない。教育は、すべての国又は人種若しくは宗教的団体相互間の理解、寛容及び友好関係を増進し、かつ、平和の維持のため、国際連合の活動を促進するものでなければならない。
3  親は、子に与える教育の種類を選択する優先的権利を有する。

第27条
1  すべて人は、自由に社会の文化的生活に参加し、芸術を鑑賞し、及び科学の進歩とその恩恵とにあずかる権利を有する。
2  すべて人は、その創作した科学的、文学的又は美術的作品から生ずる精神的物質的利益から保護される権利を有する。

第28条
すべて人は、この宣言に掲げる権利及び自由が完全に実現される社会的及び国際的秩序に対する権利を有する。

第29条
1  すべて人は、その人格の自由かつ完全な発展がその中にあってのみ可能である社会に対して義務を負う。
2  すべて人は、自己の権利及び自由を行使するに当たっては、他人の権利及び自由の正当な承認及び尊重を保障すること並びに民主的社会における道徳、公の秩序及び一般の福祉の正当な要求を満たすことをもっぱら目的として法律によって定められた制限にのみ服する。
3  これらの権利及び自由は、いかなる場合にも、国際連合の目的及び原則に反して行使してはならない。

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