紅の薔薇の人
「アニキ、秋名のハチロクにバトルを申し込んだんだって?」 「何を勢い込んでいるかと思えば、言っておいただろう。何をそんなに慌てている」 「申し込んだ時に、薔薇の花をつけたメッセージカードで送ったって本当か」 「ああ、それがどうかしたのか」 「どうかしたのかって…」 開いた口が塞がらないとはこの事だ。茫然と啓介は、正に涼しい顔をしている兄を見つめた。 「だって、普通、花なんか送らないだろう」 「そうか? メッセージカードには付けるものだと聞いていたが」 「でも、別にカードだけだって」 「宛名がパンダトレノだけだと郵政省は受け付けてくれないじゃないか」 「そりゃまあ、そうだけど。それならオレが届けたって良かったのに」 「そんな使い走りみたいな真似をお前にさせられるか」 真顔で言われてちょっと嬉しい啓介であった。 「でも、何で薔薇なんだよ」 「ああ、オレも何でも良かったんだが、ちょうどカードを出す時に緒美に会ってな。緒美が紅い薔薇がいいと言ったんだ。他に思いつかなかったし、そうしたんだが、何か不都合でもあったのか」 兄は勉強一筋だった。趣味にも一筋だった。だから、その外の余計な事は、何一つ目にも耳にも入らなかった。 だから、当然赤城の白い彗星というニックネームがアニメに由来している事も知らなかった。そして、今また一つ、走りとは別のところで新たなニックネームが出来ていた。 「アニキ、緒美が次に来るのはいつだ?」 「明日だ」 「OK。迎えはオレが行ってやるよ」 「そうか。助かる」 緒美に一言言ってやらねば気が済まない。恐らく、分かっていてやったのだ、あの女は。 「何だ、いつもは喧嘩しているのに、珍しいこともあるんだな」 啓介の決心など露知らず、涼介は朗らかに笑っている。勿論、彼は知らない。赤城の白い彗星に続いて、自分に「紅の薔薇の人」という呼び名が新に加わったことに。
こちらも、誕生日プレゼントに叶めぐみ嬢から。
シ○アはともかく、紫の○薇の人には気付かなかったわ(笑)。確かに色々アドバイスやらパーツやらあげてるよ! 隠れてないけど。
しげ@先生的には、涼介=「白馬の王子様」なんだろうな〜、とは思ってましたが。王子様の兄上様だし。
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