ベルヌーイの定理  
「紙グライダー うまく飛んだら・・・」


4月 新学期がスタートします。ピカピカの教科書とノートで生徒も私もやる気満点。といいたいところですが、教科書をパラパラとめくる生徒の表情は、なんとなく不安そうです。いつものことですが、「むずかしそー」という生徒の顔です。

「そんなことありません」 「物理はみんなが思っているよりも楽しいよ」と口で話しても始まりません。そこで、教科書では扱いませんが「ベルヌーイの定理」を体験してもらいましょう。

1.ベルヌーイの定理を知る実験

よくある実験ですが、空気の流れでモノが動いたり、止まったりする実験です。


2.翼の断面の流れ観察

これは、ベルヌーイの定理を言葉で(数式を用いずに、定理の意味を理解させて)理解させてから、演示実験をします。「へえー」という生徒の声がありました。

3.そしてメイン。緊張の紙グライダー  うまく飛んだら・・・

さあ、最後に紙でグライダーをつくりましょう。いわゆる折り紙ヒコーキではありません。きちんと、主翼の断面が上下で異なるグライダーです。ポイントは翼が平面ではないことです。また、はがき大のケント紙1枚で作れるので、全員が製作を体験できます。

        

「緊張の」とありますが、これは競技大会なのであります。紙をはさみで切るところから始まり、設計図どおり考えながら丁寧に機体を仕上げて、調整をし、最後には全員がひとりずつ飛行テストをするのです。飛行テストは下のとおり。

        

合格すると、実験の得点ということで、「中間試験に5点与える」というテストなのでありました。

かなり生徒は意欲的。また、実験レポートからも「ベルヌーイの定理」の意味を理解してくれたようです。これから始まる物理の学習の「意欲づけ」はうまくいったかな、という手応えです。ちなみに見事5点を確保した生徒は、227人中 79人でした。結構、大変だあ。

4.紙ヒコーキの力学

紙ヒコーキといえども、空中を飛行すること自体、航空機の飛行原理となんら変わりありません。うまく、作って芸術的な滑空に感動しましょう。
(1)安定を保つために
@上反角(機体の水平安定)
 傾きをなくし、機体を水平に保とうとする効果。
今回製作した紙ヒコーキは高翼式。高翼式では5〜10°
A風見安定効果
垂直尾翼(左右の安定)。水平尾翼(縦の安定)
(2)主翼の位置
主翼の取りつけ角(迎角)は2〜5°紙ヒコーキは機体が軽いため、迎角があまり大きいと抗力に負けてしまう。また、重心の位置は、主翼の機種側から翼弦長の25%の位置。

(3)キャンバー
主翼にキャンパーをつける。やはり、機体が軽いため抗力が大きくならないように15%の高さ程度にする。

(4)重心の調整
重心と揚力中心が一致していないとうまく飛行できない。
(5)飛行するための調整
@理想的な飛行
ほぼ直線となり滑空
A上下方向
下に落ちる場合(機首下げ傾向が大)
水平尾翼の揚力を減らす。
上へ上がる場合(機首上げ傾向が大)
水平尾翼の揚力を増やす。
左右方向(旋回)