音楽に愛をこめて

  コンサートの夜  



2003.4.22開設



ハンドルネーム「夜の蝉」が、気が向いたときに
好き勝手なことを書き連ねるだけのページです。





またもや雑談

 この前の土日は、両日ともオーチャードホールでトリエステ・オペラを聴いてきた。土曜日が「タンクレディ」、日曜日が「ランメルモールのルチア」。主要キャストは、どちらも今が旬の歌手ばかり。初来日の歌劇場だが、オケや合唱の出来もこちらの予想以上。ということで、大いに楽しませてもらった。
 
 なお次の土日は、聴きたいコンサートがないわけではないのだが、家でのんびり過ごすことにした。以上やたら簡単ですが、きょうはこれだけ。
 

2003.6.12






雑談

  少し遅くなりましたが、土日に聴いたコンサートについて。土曜日は悪天候のなか、まず大船へ。鎌倉芸術館でミシェル・ベロフ氏を聴いた。いちばん聴きごたえがあったのは、やはりドビュッシー。その後何を聴くかは大いに迷ったが、けっきょく東京オペラシティでドミニク・ヴィス氏を聴くことに。めあての武満ソングが、とにかくすばらしかった。翌日曜日は、ふたたび東京オペラシティに。アヌ・タリ氏&東京フィルを聴く。立派なチャイ6に感心。ハチャトリアンのコンチェルト・ラプソディ(チェロ独奏は長谷川陽子氏)とエッレルの2作品は実演初聴であった。その後、サントリーホールに移動し新イタリア合奏団を聴く。後半にはキャスリーン・バトル氏がゲストとして登場。ひじょうに楽しいコンサートとなった。ということで、充実した2日間であった。

 さて話は変わるが、今年は私が最も尊敬する映画監督といっていい小津安二郎氏の生誕100周年にあたる。それを記念し、現存する彼の全作品がDVDとして発売されるという情報を新聞で読んだ。すでにフィルムでは繰り返し見ているのだが、全作品を自宅で好きなとき見られるようになるというのは、たいへん嬉しい話だ。ビデオ未発売の作品も含まれているというから、ファンにとってこれはたまらない。ひょっとすると今秋の休日は、自宅で小津三昧ということになるかもしれない。もちろんコンサートやオペラにまったく行かなくなるということはありえないですが。
 

2003.6.5






簡単な感想(4月29日分)

 すでに公演当日から、ひと月以上が経過した。いくらゆとりが大切といっても、もう少しせっせと書くようにしないといけないですね(^_^;)。

 東京文化会館における演奏会形式の「ノルマ」。エディタ・グルベローヴァ氏の「ノルマ」初挑戦ということで話題を呼んだ公演の、この日は最終日。そのグルベローヴァ氏は、とても初挑戦とは思えないハイレベルの歌唱を披露してくれた。第1幕第1場における登場の場面。威厳やエキセントリックさは陰をひそめ、慈愛の精神でドルイド教徒たちの心をやさしく包み込むように歌う。アリア「清らかな女神」でも、それは変わらない。その甘くとろけるような美声が、ドルイド教徒たちばかりでなく、すべての聴衆をも包み込む。至福の時間であった。同じ旋律が繰り返されるときには、よりこまやかに表情をつける。コロラトゥーラの切れ味も抜群。そしてグルベローヴァ氏といえば、なんといっても弱声の魅力。第1幕第2場と第2幕第1場、それぞれの冒頭。その絶妙にコントロールされた弱声には、心底酔わされた。おさえていながら、その歌唱にはノルマの心情がしっかりと反映されている。さらにグルベローヴァ氏には、至芸というべき音量変化がある。とくに印象に残ったのは第2幕第3場、ノルマの決めぜりふSon io!におけるクレッシェンドとデクレッシェンド。その後オケが入ってくるまでの「間」も実にすばらしく、ここは聴いていて心が震えた。ノルマ最後のアリアにおける心情表現も、みごと。その父への訴えかけ。ここでも大きく心を揺り動かされた。とにかく最初から最後まで申し分なし。歌唱面では文句なしに現代最高の「ノルマ」を堪能したといった感。
 グルベローヴァ氏の圧倒的存在感もさることながら、この日の公演はそれだけではなかった。アダルジーザのヴェッセリーナ・カサロヴァ氏、ポリオーネのヴィンツェンツォ・ラ・スコーラ氏の出来もたいへんすばらしかった。第1幕第1場終盤における2重唱、またグルベローヴァ氏もふくめた第1幕第2場終盤における3重唱など、どちらもこのうえなくドラマティックで、聴いていて鳥肌が立った。第2幕第1場におけるノルマとアダルジーザの2重唱は、以前グルベローヴァ氏とカサロヴァ氏のデュオ・リサイタルのさいにも聴いたことがあったが、もうとにかく夢見心地で桃源郷にいるかのような気分。もともと期待の大きかった公演であるが、期待を上まわる名唱の連続で大満足であった。なおオロヴェーゾを歌ったシモン・オルフィラ氏は初めて聴いたが、これから頭角をあらわしてきそうな筋のいいバス-バリトン歌手だと思う。
 シュテファン・アントン・レック氏の指揮に接したのも初めてであったが、彼もいい指揮者だ。指揮姿は、どことなくダニエル・オーレン氏に似ている。全身を使って大きくのびあがったり、逆にしゃがみこんで指揮したりする。ただオーレン氏と比べると、いくらか洗練されているような印象か。緩急や強弱はかなり大胆に変化させるが、音楽の呼吸が自然なため、あざとく感じることはない。第1幕第2場の終盤もよかったが、とりわけ感心したのは第2幕第3場における音楽運び。ノルマとポリオーネの2重唱ではテンポをぐっとおさえ、その後大きく緩急を揺さぶり、ラストはここぞとばかり音楽をもりあげる。いや、まいった。感心どころではない。感動した。先述したノルマのSon io!後の「間」の絶妙さについても、もういちどここで触れておきたい。オケは東京フィル。スロヴァキア・フィルハーモニー合唱団ともども好演。
 
 終演後は満場総立ちの大喝采となったが、むりもなかろう。私自身、この公演が聴けてほんとうによかったと思う。

2003.5.30







ご意見ご感想は夜の蝉まで