フェスティバル・ヴァリエーション C・T・スミス 作曲

楽曲紹介

ホルンのテクニカルなファンファーレに続く強烈なシンコペーションで幕を開ける。そのまま冒頭で示されたテーマでを楽器を替えながら奏でていき、中間部分でテンポを落として各楽器のソロに導かれる旋律をtuttiで演奏した後、第一メロディーの発展した形に戻り終焉を迎える。技術的には大変高度なものを要求される曲で、どのパートも速いテンポでの細かい正確なタンギングを必要とする。普段細かい音符を吹かないパートも同じ事を要求される。木管楽器に置いては言わずもがなである。トランペット、ホルンにおいては高音域で安定した音が出せないと苦しい。また、変拍子からくりだされる強烈なシンコペーションが、かっちり決まるようになるまで、数をこなしていく必要があるだろう。

私的感想

タンギングきつい!音高い!指回らない!変拍子わからん!といった感じでとにかくむずかしいです。けれども、聴いてるぶんにはもう、「かっこいい!」のひと言につきます。それ以上の言葉はいらないです。大好きです(笑)非常にテクニカルな曲で、しっとりと感動させるような場面はほとんどないのですが、そんな場面はいらんとばかりに、とにかく力技でぐいぐい押していく曲です。

筆者が最初に聴いたのは’84の天理高校のコンクールの演奏でした。その演奏もすばらしかったです。セントアンソニーと同様にその演奏のすばらしさが、この曲の魅力を余すところ無く伝えたからこそ、センセーショナルを巻き起こしたのでしょう。本当にあのころの天理高校はすごかった。「うまい」ではなくて「すごい」でしたね。それぐらい群を抜いて圧倒的でした。

この曲自体はコンクールでは’83に神奈川大学とヤマハ浜松が演奏して全国大会に出場し、スミスは続いて「ファンファーレ・バラードとジュビリー」「ルイ・ブルジョアの賛美歌による変奏曲」「華麗なる舞曲」などの作品によって、C・T・スミス旋風を全国に巻き起こしました。どの曲もハイトーンとタンギングがきついのですが、どの曲も「かっこいい!」のですよ。筆者も完全に魅了されましたが、残念ながら私自身はスミス作品を演奏する機会に恵まれませんでした。そして、作曲者のスミスも1987年に心臓発作で亡くなってしまいました。ですから、もうスミスの新作を聴くことはできないのですが、まだまだ上記の曲以外にもいい曲はたくさんあります。我々の世代にとっては、スミスといえば、クロード・スミスなんですよ。ロバート・スミスじゃないの!「海の男たちの歌」とかやるんだったら「セレナーデとダンス」をやりなさい!鎖振り回してる暇があったら、マリンバで32分音符を叩きなさい!