アルヴァマー序曲 J・バーンズ 作曲

楽曲紹介

速度構成は急−緩−急の形式。メロディ構成はT−U−T−U’のようになっており、最終部は中間部のメロディーが木管の対旋律とともに速いテンポで奏でられ、締めくくられる。テンポの速い部分の伴奏はシンコペーションで刻まれるリズムが印象的である。技術的には木管楽器においては指の回り、金管楽器に置いてはある程度の高音が吹きこなせることが要求される。また、どの楽器もかなり吹きっぱなしになるので、体力(?)耐久力(?)が必要とされる。

私的感想

第一メロディーに出てくるシンコペーションが、2で書いた「インヴィクタ序曲」と非常によく似ているので、同列に語られることが多いです。流行した時期も同じだったこともその一因となっているのでしょう。しかし、内容はかなり違います。どちらも耳に残るメロディーとリズムが印象的な曲ですが、アルヴァマーの方はとにかく吹かせられます(笑) 譜面はコーダの所の木管楽器の32分音符と金管楽器の音域以外はとくに難しくはないのですが、朗々としたメロディが延々続くので、息をすう場所もありません。筆者も中学の時、この曲ではじめてカンニングブレスというものをしました。最後の方になると「速く終わってくれー」と思いながら吹いていました。また、第一メロディの対旋律に二拍三連符がでてきて、リズムが全然とれなくて四苦八苦しました。こう考えていくと、結構難しいですね、この曲。

ところで、この曲の冒頭のテンポは四分音符=144なのですが、ソニーから出ていた「コンクール自由曲集’82」の汐澤安彦/東京佼成ウインドオーケストラの演奏が、四分音符=160以上の超速でやっちゃってるんですよね。これはコンクールの自由曲にするには、7分ちょっとで終わらせなければいけないからだと思います。だもんで、当時はみんなそれぐらいの速さで演奏しちゃったんですよね。のちにバーンズが来日した時、日本ではアルヴァマー序曲がすごく有名なんですよとか言われて、そのCDを聴いたところ 「これは私の曲ではない」とか言ったとか言わないとか…
(のちにバーンズ自身の指揮で東京佼成ウインドオーケストラは「アルヴァマー序曲」(『ペーガンダンス』所収)を録音しています。それを聴くと、別の曲とまでは言いませんが、たしかに印象が全然違いますね(笑))