インヴィクタ序曲 J・スウェアリンジェン作曲

楽曲紹介

冒頭いかにもという感じのファンファーレで始まり、印象的なシンコペーションのリズムに乗って主題が流れ、いくつかのパートによってそのテーマが受け渡されていく。構成は典型的な「A−B−A」形式 。音域、指使いその他どれをとっても無理なく書かれている。きちんとポイントを絞って仕上げると、バンドとしての力が付くであろう。

私的感想

1980年代に吹奏楽に関わった者にとっては忘れることのできない1曲でしょう。1981年に作曲されたこの曲は、その一度聞いたら忘れられない美しいメロディーによって爆発的なヒットを記録します。埼玉県のコンクール演奏記録においても、他の追随を許しません。(’73〜’03埼玉県吹奏楽コンクール中学校の部のべ演奏回数なんと203回)一時期はあまりにも演奏されすぎたため、「つまらない」「底が浅い」などの誤った風評を、したり顔で言うやからが出てきました。しかし、まさしくそれこそ底の浅い考えです。確かに教育的配慮がちりばめられた平易な楽曲であるがゆえに、中高生にとっては退屈に感じることもあったかもしれませんが、それはひとえにその中高生の指導者の力不足が招いたことです。ただ、吹いているだけでは飽きてしまうのは当たり前で、その平易な譜面の中に作曲者が何を込めたかを教え、美しいメロディーをいかに歌っていくかと言うことまで教えられる指導者が不足していたことが、そのような誤解を生んだのだと思われます。作曲から20年以上たった現在もコンクールで演奏されること自体が伝説となっている不滅の名曲であり、 日本で吹奏楽に関わる以上は一度は吹いて欲しい曲の一つです。