第一日目

 

 2年ぶりに、越後湯沢に戻ってきた。あの美味い飯に美味い酒。これを味わうためにやってきたといっても過言ではあるまい。東京駅から上越新幹線で1時間半。これは近い。今回は、足慣らしということもあって、ショートスキー(ブレード:サロモン)を担いでいくだけ。友人も同じく、ブレード99.9(USAモデル)のみ。状況によっては、カービングを現地でレンタルする予定。

 13時半ごろ、越後湯沢駅に到着。すぐに旅館より送迎車が来る。運転者は、作務衣っぽい制服を身にまとった、いまどき兄ちゃん。しかし、朴訥としているが丁寧な物腰。むむむ?出来る!車で5分、徒歩15分という表示であったが、やはりもっと遠いこと判明。駅前まで歩いて飲みに行くには少し大変かも。

 宿に到着。これまた、上品な作りに意表をつかれる。あまり期待していなかったもので。

なにはともあれ、まずはスキーウェアに着替える。足慣らしは、目の前の「湯沢温泉スキー場」で済ませることとする。晩ご飯を17時30分としたので、17時には戻るつもりでゲレンデに向かう。ファミリー用ゲレンデなのでゲレンデにはひともまばら。天候は良くなく、今にも雨が降りそうな上に、気温が高い。案の定、着いたと同時くらいに雨が落ち始める。いきなり、登行リフトに乗り、山頂を目指す。雨はみぞれに変わりつつあったが、風も強くなり、ガスも出てくる。滑る前から気を削がれること多し。意外と標高が高いのか、雪面状況はさほど悪くない。ただ、あまりにもガスが濃く、風も強いので、思い切った動きができない。ポンチョを着用しているものの、かなりウェアが濡れてくる。結局、2時間程度で初心者ゲレンデに下り、板を交換して適当に遊び、さっさと退散。

 さて、今回の旅のメイン。料理である!なんと、据え膳である。自慢じゃないが生まれて初めてである(爆)。これがまた、美味いわ、種類は多いわ、酒も美味いわで大満足である。お酒は、白瀧(1合)がサービス。辛口のすっきりタイプで大満足。もう、わざわざ外に出かけて飲む必要なし。というより、そんな余裕なし。たまたま、新聞のテレビ欄のコピーから、NHK教育にて、川久保玲@コムサ・デ・ギャルソンの特集番組が21時から放映されることを知る。友人とふたりして、目覚ましをセットして爆睡する。ここから何かがずれ始めることになるのだが、このときはまだ知る由もない。

  いやいや、まあテレビの内容をここで書いてもなんなので割愛するが非常に興味深かったことぐらいは書いておこう。さらにおまけとして、それからぐだぐだとテレビを見ているうちに、カウントダウンTVが始まり、さらに、USA年間ヒットチャート100なんかが始まったもんだから、就寝が午前4時になったことや、わざわざ越後湯沢まで行って、持ち込んだティンクパッドでチャットをしていたこともついでなので書いておこう。

 

第二日目

 東京から、友人がもうひとり合流。朝7時半に朝食をお願いしていたら、朝7時に布団を片づけられてしまった。これはある意味、おかん(母)よりも厳しい措置である。友人は、朝風呂に向かったが、目覚めてから1時間は使い物にならないわたしは、布団をはぎ取られ悶絶していた。まあ、食事が用意されるとそれをもさもさと食す。魚沼産こしひかりを咀嚼しながら徐々に感覚を取り戻す。友人が越後湯沢駅から送迎車で旅館に到着。着替えて、ゲレンデに向かう。この日は、「ガーラ湯沢」まで。ここへも無料送迎してもらえるので便利。リフト券は、まあせっかくだからということで「湯沢温泉スキー場」、「ガーラ湯沢」、「石打丸山スキー場」の共通2日券。ついでに、「ガーラ湯沢」の登行リフト前でカービングをレンタルする。ニューモデルだと、2日で9000円。旧モデルならば2日で4300円。やむを得なし。レンタル板は、ロシニョールでまあまあ。

 スタートがゆっくりで9時半頃であったせいもあって、リフト前にはそれなりのひとが集まっている。足慣らしをかねて数本滑るが、後半さすがに重くなるものの意外と雪面状況は良い。だんだん混み始めたので30分ほどウォーミングアップをして、山頂に向かう。

 1日目と同様、ガスが出ており視界が悪い。どこのゲレンデがコンディションおよび混み具合を確かめながら、各コースをさまよう。結論としては、ガーラの北エリアが良かったのだが、こちらの体力が空になったので、ひとりだけさっさと退散。ふもとにて友人たちを待つ。ゲレンデ内での昼食は、高くて不味いというのが常識なのだが、ここでは「米処越後湯沢は飯が美味い」の法則が勝利。ガーラが若干内容的に落ちるものの及第点には達している。好みは、ガーラから湯沢温泉への連絡リフトの乗り場(湯沢温泉側)のレストハウスである。

  早めに退散するつもりが登行リフト(下り)の混み方が尋常ではない。これは油断していた。なんとか、17時半には旅館に帰還。急いで、風呂へと向かい、リフレッシュを図る。露天風呂も絶景で快適なり。第二日目も、料理は豪華絢爛。サービスの日本酒(冷)は同じく白瀧。追加で、湊屋藤助を3合頼むも残してしまう。不覚なり。22時頃、おもむろに外へ出かけようと思い立つがなんと、無情の雨。出鼻をくじかれて、すごすごと部屋にもどり、350cc400円という壮絶に高いスーパードライをちびりちびり飲む。

 友人二人は早々に沈没。地味にわたしが朝5時までチャットしていたのは、思い出すにも汗が出る。まったく何しに行ってるんだか。モバイルできるのも考えものである。

 

第三日目

 

 7時起き。これは地獄。しかも布団を奪われる。つらすぎ。とりあえず、飯を食べたようなのだがあまり記憶なし。気がつけば、9時過ぎになっており、10時チェックアウトなので準備するようにと友人が優しくアナウンス。なんとまあ、わざわざ寝かしてくれていたらしい。まったく申し訳ないものである。(もちろん、その場で謝罪はしてます。)レンタル板を返却する必要があるので、ガーラで滑る。初日、二日目とうって変わって雲一つない晴天。軽く2本ほど滑って、山頂まで上がる。あまりの上天気のため、ガスがいくらか発生しており、麓は隠れてしまっていたものの絶景であることには変わりなし。雪面状況も意外と悪くなく、快適に滑ることができた。休憩をかねて、湯沢温泉スキー場に移動し、昼食を取る。前日の無茶が祟ったらしく、体に力が入らなくなったので、ひとり早めに退却。レンタルスキーを返却し、着替え等をして友人たちの帰投を待つ。14時頃に、ガーラ湯沢駅を出発し、隣の越後湯沢駅へ移動。コインロッカーへ荷物を放り込み、前回行き損ねた、駅構内にある冬季限定の酒風呂に入る。基本的には単なる銭湯のようなものなのだが、浴場に入ると同時に熱燗の香りに包まれる。なかに置いてある、ボディシャンプー、シャンプー&リンスも、米を使ったもので、とにかく米臭い。湯は白濁しており、浴槽の底が若干ぬめりがある。そうでなくても湯あたりしやすい体質なのだが、匂いに参ってしまい、早々に出る。まあ、体が温められたので疲労感が軽減される。次に向かうは、利き酒コーナー。500円で、全百数十種類の地酒のうち、5種類をお猪口1杯ずつ利き酒できるという涙もののコーナー。こちらは3人なので計15種類である。勿体ないとは思うものの、すべて飲み干していては味がわからなくなるため、数口含んでは残りを捨て、その度チェイサーの冷水を含む。この冷水がまた美味く、こっちをごくごく飲んでしまう。そうこうしているうちに、残り時間が少なくなってきたので慌てて土産物の、地酒や漬け物を購入し、帰路に就く。16時台の特急なのだが予想通り、乗車率は100%を超え、東京まで通路で過ごす。大宮で東京組の友人と別れ、ひとりで新幹線を乗り継ぎ、家まで。それなりの出費であったが、まあ全体的には満足できる旅であった。