邦題「es[エス]」

原題「es」

2002/11/2@シネマ・クレール石関 〜11/22


評者   

評価  

ひとこと

ほーく

  人はどこまで歪むのか・・・

<コメント>

 正直、この作品を薦めていいのかどうか現在でも自信がない。実際にあった、衝撃的な心理実験の経緯を下敷きに、この作品は作られている。

 この作品がかなり誇張され、エンターテイメント色が強くなっているのも、その心理実験のもたらした(ある種の)結果が、あまりにも重大だからではないだろうか。

 娯楽性を高くし、フィクション性を分かりやすくした演出は、その重大さを引きずらないようにわざと仕掛けられていたのではないだろうか。そう勘ぐってしまいたくなる。

 その下敷きとなった実験のエッセンスをシンプルに伝えるだけで、十二分に衝撃を受けるだろう。そういった意味でも、パンフレッットはいい補助資料となるであろうし、もうひとつの著名な「アイヒマン実験」の存在も知るべきであろう。

 すでに、両実験についての概略をご存知の方には若干、無理のある描写及び展開であるので、作品としては「3」どまりかとも思ったのだが、ご存知でない方には、やはり知ってもらいたい作品でもあるので、あえて「4」という評価とした。

 主演は、「ラン・ローラ・ラン」、「ルナ・パパ」、「ノッキング・オン・ヘブンズ・ドア」と注目の作品に頻出している、モーリッツ・ブライプトロイ。今回は、いわゆる狂言回しであるので、さほどくせのある演技はしていない。前記の作品をお薦めする。助演陣は、どちらかというと分かりやすさ中心で配役された感があり、ステレオタイプ気味である。まあ、これは意図されているのであろうからやむを得ないだろう。


主演 モーリッツ・ブライプトロイ@タレク(77番)
共演              クリスティアン・ベッケル@シュタインホフ(38番)、オリバー・ストコフスキー@シュッテ(82番)、ユストゥス・フォン・ドーナニー@ベルス(看守:航空会社陸上勤務)、ティモ・ディールケス@エッカート(看守:プレスリーのものまね)、ニッキ・フォン・テンペルホフ@カンプス(看守)、アントアーヌ・モノ@ボッシュ(看守:熊さん風)、エドガー・ゼルゲ@トーレ教授、アンドレア・サヴァツキー@ユッタ・グリム博士、マレン・エッゲルト@ドラ
監督 オリバー・ヒルツェヴィゲル
脚本・原作 マリオ・ジョルダーノ 「実験 −ブラックボックス」
衣装 クラウディア・ボブジン
美術監督 ウリ・ハニッシュ
撮影監督 ライナー・クラウスマン
OST 未購入。
2001年・ドイツ 119分
参考URL http://www.page.sannet.ne.jp/tuyoshi-i/es_main.htm

http://www.es1.jp


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