邦題「マトリックス リローデッド 」

原題「The Matrix Reloaded」

2003/7/12@MOVIX倉敷screen5、2003/7/26@MOVIX倉敷screen3


評者   

評価  

ひとこと

ほーく

 すべてにおいて前作を上回るその洗練さを堪能せよ

<コメント>

 やりたい放題とは、こういうことを言うのだろう。3部作とは銘打っているが、実質これは公開を控える「レボリューションズ」とあわせてひとつの作品であるのは明白。それ故に、前半部である今作品は随所にやりすぎなところがあるが、それもがこの作品の魅力と成り得ている。フリーハンドで自由自在に「マトリックス」世界を描いたウォシャウスキー兄弟とスタッフたちは、まことに天晴れ。そして、そのために、しっかり大予算を分捕り、兄弟に自由に作らせたジョエル・シルバー、さすがは大御所、慧眼である。その断片は「アニマトリックス」を見ればよく分かる。

 さて、すべてを上回る洗練さとはなんだろう。既に鑑賞済みな方は充分承知だろう。正直、前作は野暮ったかった。ありがちな世界観。ぎくしゃくしたワイヤーアクション&カンフー。その場面だけが浮いている特殊効果画面。めりはりのない展開・演出。古臭いデザイン。
 それがすべて洗練されて再登場している。しかも極上。ちなみにその対極にあるのが「T3」とは皮肉なもんだ。何故なら、前作の背景には「T2」の影響も少なくはないのだから。
  では、具体的にどう変わったのか。なるべくネタバレしないように触れていこう。まあ、ネタバレしても困らない作品だけどね。
 まずは、冒頭から度肝を抜く、あの演出にあのポーズ。前作では、激しい動きは続けども、それを印象づける効果、つまり”間”の取り方がなってなかった。スローモーション・静止の効果的な使い方は明らかに香港を祖とするものだ。
それでいて、カーチェイス・ガンアクションも含め、動きはより過激に、より野性的にまさに進化している。
 さらに、ユアン・ウー・ピンのチームは円熟度を増し、前作では単なる武術アクションでしかなかった場面をそれぞれその場に相応しいものに構築し、特殊効果をも計算にいれた空間を演出している。また、あれだけ下手くそだったキアヌをはじめとする素人カンフーも、無闇に本人が演じることに重きをおかず、きっちりとスタントを活用。また、キアヌたちも武術の基本である円運動を体で学習できたようであり、アップでの本人でのアクションがより優雅に映える。このせいで、「チャーリーズ・エンジェル フルスロットル」の出来が悪くなったんじゃないかと勘ぐってしまうほどだ。
 美術・衣装・そしてメカデザイン。ザイオンの洞窟での”生命の賛歌”とも言えるダンスには胸が踊り、トリニティのいつもの黒レザーに誘惑され、ネオのチャイニーズロングコートに思わず目を奪われる。これらもまた、世界観をしっかり捉え、前作とは比較にならないほどの洗練さを示している。メインスタッフは前作に引き続きである者ばかりなのでコンセプトにゆらぎはない。この洗練さは、すなわち彼らの成長といえ、実にうれしいことだ。
 最後に世界観。なんだか乱暴だった前作をあっさりプロローグに仕立て上げ、かつ、「レボリューションズ」への効果的な伏線は忘れない。話が難解だという意見も散見したが、それは禅問答のような抽象的・暗喩的な会話の数々によるものであろう。「マトリックス」が電子仮想空間であるという前提において、実感のある今が夢なのかそれとも現実なのか、このような寓話は古代中国をはじめ、各地にはるか昔から存在する命題である。観念的な会話は時として哲学となる。また、現在において、高等数学はもはや哲学とも言えるものである。
 そして、預言者とは?「マトリックス」とは?救世主とは?ザイオンとは?。前半がすさまじいアクションの連続の”動”であるならば、これらに言及する今作品の最終盤は、残酷なまでの”静”である。この物語がどう決着するのか、楽しみで仕方が無い。

 ちなみに、エンドロールの途中で退場した方々よ。己の行為を悔いるがいい。そして、まだ未見の方々よ。是非とも劇場が明るくなるまで席を離れないでいてほしい。終わりへの鍵はそこにある。


主演 ※ キアヌ・リーブス@ネオ
共演              キャリー=アン・モス@トリニティ、ローレンス・フィッシュバーン@モーフィアス、ヒューゴ・ウィービング@エージェント・スミス、ジャダ・ピンケット・スミス@ナイオビ、グロリア・フォスター@預言者(オラクル)、コリン・チャウ@セラフ(預言者の護衛)、モニカ・ベルッチ@パーセフォニー(メロビンジアンの妻)、ランバート・ウィルソン@メロビンジアン、ハロルド・ペリノー@リンク、ノーナ・ゲイ@ジー(リンクの妻)、ランダル・ダク・キム@キーメーカー、ハリー・レニックス@ロック司令官、ニール&エイドリアン・レイメント@ザ・ツインズ、アンソニー・ウォン@ゴースト(ナイオビの部下)、ヘルムート・バカイティス@アーキテクト(設計者)、クレイトン・ワトソン@キッド、アンソニー・ザーブ@ハーマン評議員
監督・脚本・製作総指揮 ※ ウォシャウスキー兄弟(ラリー&アンディー)
制作 ※ ジョエル・シルバー
製作総指揮 グラント・ヒル/ブルース・バーマン
衣装 ※ キム・バリット
美術 ※ オーウィン・パターソン
撮影 ※ ビル・ポープ、A.S.C.
音楽/指揮 ※ ドン・デイビス
編集 ※ ザック・ステインバーグ、A.C.E.
視覚効果監修 ※ ジョン・ゲイター
ファイト・コレオグラファー ※ ユアン・ウー・ピン
音響/サンド・エディター監修 ※ デーン・A・デイビス、MPSE
コンセプト・デザイナー ジェフリー・ダロー
OST(2枚組)/DVD 購入済。お薦め度4。/購入済。
パンフレット @900円。泣けるほど高いがまあ買ってもいいのでは?
2003年作品 2時間18分
参考URL 公式サイト:http://WWW.THEMATRIX.COM

http://www.warnerbros.co.jp/


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※は、前作と同じスタッフであることを示す。