邦題「ヒューマンネイチュア」
原題「Human Nature」
2002/4/29@シネマ・クレール石関
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
4 |
ラストの十数分を見逃すな |
<コメント> |
「マルコヴィッチの穴」で一躍脚光を浴びた、チャーリー・カウフマン脚本最新作。「マルコヴィッチの穴」の監督スパイク・ジョーンズは制作に回り、同じMTV界のミシェル・ゴンドリーがメガホンを取る。そして、キャストには、ティム・ロビンス、パトリシア・アークエット、リス・エヴァンス。これは期待できる!と電波が飛んできたので迷わず鑑賞。いや、映画館の作品案内の「俳優たちの捨て身の演技」ってところに一抹の不安は感じたところは否めない。 さて、正直、ミシェル・ゴンドリーは長編映画を撮るということに関しては、それほどの適性があるようには思えない。1時間半程度の長さであったにも関わらず、体感時間は2時間半規模の作品と同程度。単調な繰り返しに、さほど凝っていないカメラワーク、ブラックジョークというのはテンポも必要と考えるわたしにとっては、それは観客の集中力を奪うのに充分なものであったように思う。まあ、これはこれからの研究次第で克服できるのではなかろうか。 脚本に関しては申し分ない。さすがは、カウフマンである。「マルコヴィッチの穴」に通じる、奇想天外な設定はやはりそれだけが目的ではなく、あくまでもその先にある伏線へと通じる。惜しむらくは、「マルコヴィッチの穴」のような丁寧な演出がミシェルにはできなかったため、独特の映像感覚による不条理感の相乗効果がなく、今回はかなり理詰めである。タイトル通りの『ヒューマン』と『ネイチュア』との関わりこそが、我々を冷ややかに笑い飛ばす。あの座り心地の悪いエンディング直前が、納得へと移るあの瞬間、あれが楽しみでカウフマンの作品をこれからも追い続けること必至である。 キャスティングについては、十二分であろう。あれだけ無茶な役にあの演技を求められ、それをカリカチュアたっぷりに演じる。性格俳優としての力量の見せ場である。いくら、イロモノ作品のイロモノ演技と見られてもである。個人的には、やはりティム・ロビンスに感嘆するのだが、ある意味ステロタイプを演じきったリス・エヴァンスも素晴らしい。パトリシア・アークエットは、どーしてこんなヨゴレな役が多いのかとついつい笑ってしまう。 何はともあれ、一番罪深いのは何か、非常に明快で痛烈なメッセージをまた突きつけられたといったところである。 |
主演 | リス・エヴァンス@パフ |
共演 | パトリシア・アークエット@ライラ、ティム・ロビンス@ネイサン、ミランダ・オットー@ガブリエル、メアリ・ケイ・プレイス@ネイサンのママ、ロバート・フォスター@ネイサンのパパ、ロージー・ペレス@ルイーズ |
監督 | ミシェル・ゴンドリー |
脚本 | チャーリー・カウフマン |
衣装 | ナンシー・スタイナー |
プロダクション・デザイン | K・K・バーレット |
撮影 | ティム・モーリス=ジョーンズ |
音楽 | グレーム・レヴェル |
音楽監修 | トレイシー・マックナイト |
編集 | ラッセル・イック |
OST | 未購入。 |
2001年作品 | 1時間36分 |
http://www.humannature.jp/ |