邦題「ギャング・オブ・ニューヨーク 」
原題「Gangs of New York 」
2002/12/10@MOVIX倉敷:試写会
評者 |
評価 |
ひとこと |
ほーく |
4 |
4 圧倒的な重厚感で迫る |
<コメント> |
構想30年、撮影期間270日、総製作費150億円以上という大看板にふさわしい作品をマーティン・スコセッシ監督はひっさげて現れた。個人的には大満足このうえないのだが、諸経費を回収できるのかが実に心配である。何せ、相手は「ハリー・ポッター」であるのだから。 さて、余談はさておき、本作品について述べよう。邦題が「ギャング・オブ・〜」と単数形であるためうっかりディカプリオ中心の映画かと勘違いするのだが、原題は「GANGS・OF・〜」と複数形であり、文字通りNYのギャング達を描いている群像劇なのである。やはり、日本の大手映画会社には猛省を促したい。 19世紀半ば、南北戦争の前兆が見え始めた時期、欧州移民の窓口NYを舞台に繰り広げられる勢力争い。それは、単に利権を奪いあうだけのものではなく、ひとが何をよりどころにしているかが背景となる。宗派が違うといえども同じ神に加護を乞い、互いを傷つけようとする悲劇。異なる言語を話しながらも、日常は協調をとる少数派の異国人達。独立して100年足らずの自国への帰属意識をもって己のアイデンティティを図ろうとする一派。そこには、アメリカの歴史が生々しく再現されている。この生々しさを表現するために膨大な時間と資金を投じたスコセッシ監督とそれに参加した人々に敬意を表したい。 キャスト陣についてだが、ディカプリオの演技は役柄に合った等身大のもので賞賛に値する。ただし、実はディカプリオの役は語り部に過ぎず、もしかすると彼はこの路線でいったほうがいいのかもしれない。 キャメロン・ディアスも見事。上品さと狡猾さ、そして意志の強さを表現することに成功。 そして何より素晴らしいのが、ダニエル・デイ=ルイスである。その存在感は圧倒的で、アカデミー助演男優賞を授与したいくらいである。いっそのこと主演でも構わないが(笑)。 また、群像劇ということが再確認できるほど脇役陣も個性的であり存在感がしっかりしているのは、人物設定の確かさと演出の堅実さ、俳優の力演の賜物であろう。 多くのエネルギーをつぎ込んだものが、見事に骨太な作品に昇華されたことは実に喜ばしいことである。 |
主演 | レオナルド・ディカプリオ@アムステルダム・ヴァロン |
共演 | ダイエル・デイ=ルイス@ビル・ザ・ブッチャー、キャメロン・ディアス@ジェニー・エヴァディーン、リーアム・ニーソン@ヴァロン神父、ヘンリー・トーマス@ジョニー、ブレンダン・グリーソン@モンク、ジム・ブロードベンド@ウィリアム・トゥイード(政治家)、ジョン・C・ライリー@ジャック(警官)、ゲイリー・ルイス@マックグロイン(ビルの右腕) |
監督 | マーティン・スコセッシ |
脚本 | ジェイ・コックス、スティーブ・ザイリアン、ケネス・ロナガン |
衣装 | サンディ・パウエル |
美術監督 | ダンテ・フェレッティ |
撮影監督 | ミヒャエル・バルハウス |
音楽 | エルマー・バーンスタイン、ハワード・ショア |
編集 | セルマ・スクーンメイカー |
OST | 未購入。 |
2002年作品 | 168分 |
参考URL | 公式サイト:http://www.gony.jp/ |