邦題「バイオハザード」

原題「BiOHAZARD / Resident Evil」

2002/8/24@新宿ジョイシネマ1


評者   

評価  

ひとこと

ほーく

基本に忠実。元ネタを見極める。 

<コメント>

 最近、(PC用or家庭ゲーム機用)ゲームの映画化が多くなってきている。(例:『ファイナル・ファンタジー』、『ダンジョン&ドラゴンズ』、『トゥーム・レイダー』、古いが『ストリート・ファイター』)まあ、ゲーム業界自体も、すぐ安易に話題映画のゲーム化をするのでまあお互い様である。(数から言うと圧倒的にゲーム化のほうが多いのだが)

 そして、更にオリジナル脚本の映画もどんどん少なくなってきている。ヒット作品の続編、ベストセラーor古典を原作としたものetc、創造性の低下ということで論じられることが多いこの傾向だが、個人的には換骨奪胎、新解釈などそれはそれでいいのではないかと思う。

 でもって、この作品。パンフレット収録のインタビュー記事を信じるならば、ポール・アンダーソン監督は、この『バイオハザード』というゲームが大好きだそうである。まあ、リップサービスであっても構わないが、ゲーム版(というよりオリジナル)の強みを見事に把握している。

 では、そのゲーム版の持つ強みとは何か?いわゆるホラー映画の定番演出をゲーム上に再現したのである。それは「主人公の視界(厳密には、より斜め後ろからの俯瞰)」であったり、「BGMによる緊迫感の相乗効果」であったり、「肩すかし後の本物の恐怖」であったり。ゲーム制作スタッフが数多くの優れたホラー映画を研究した成果が、そこに見える。

 つまり、この映画は、ホラー映画を手本にしたゲームを映画化したものなのである。ゲームの設定・キャラクターを借り物にしているだけの先行作品と違い、監督はゲームが成功した勝因に気づいたのである。つまり、ド定番なホラー映画に徹すればいい、ということに。

 結果、我々はよく出来た定番のホラー映画を楽しんだことになるのである。もちろん、よく出来たホラー映画なのだから、脚本もシンプルで分かりやすく、充分怖い。ミラ・ジョヴォヴィッチは無意味に肌を見せているものの(さすが、元モデルであるだけあって、均整のとれた姿ではある)、肝っ玉の据わったヒロインをアクションたっぷりに演じ、ダブルヒロインのもう一翼を担ったミシェル・ロドリゲスは持ち味(?)の三白眼で大役に応えている。地味ではあるが、他のキャストもそれなりの動き、とキャスト陣も善戦。

 クライマックスの処理が(それまでに比べて)雑であったので「3」どまりという評価にしておこう。続編を狙っているのが露骨にみえるエンディングにも目をつぶろう(笑)

※ ちなみに、この映画を更に小説化したものがある。著者は、なんと牧野修氏である!といっても一部の方にしかなんやら分からんのが残念だが、この小説版がこれまたイケルのである。文庫でもあるので、是非一読をお薦めする。正直、こっちのプロットを脚本に採用してほしかったものだ。

お茶屋さん@「チネチッタ高知」の評は、こちら

映画館主・Fさん@「DAY FOR NIGHT」の評は、こちら(ネタバレ)


主演 ミラ・ジョヴォヴィッチ@アリス
共演              ミシェル・ロドリゲス@レイン、エリック・メビウス@マット、ジェイムズ・ピュアフォイ@スペンス
監督 ポール・アンダーソン
脚本 ポール・アンダーソン
衣装デザイン リチャード・ブリッドグランド
美術監督 リチャード・ブリッドグランド
撮影監督 デヴィッド・ジョンソン
音楽 マルコ・ベルトラミandマリリン・マンソン
編集 アレグザンダー・バーナー
OST 未購入。
2002年作品 1時間41分
  http://movie.lycos.co.jp/feature/biohazard/nema/a_history.html

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