だれかが風の中で  上條恒彦

■だれかが風の中で

何処かで誰かが、きっと待っていてくれる
雲は焼け道は乾き、陽は何時までも沈まない
心は昔死んだ
微笑には遇った事も無い、昨日なんか知らない
今日は旅を一人

けれども何処かで、お前は待っていてくれる
きっと、お前は風の中で待っている

何処かで誰かが、きっと待っていてくれる
血は流れ皮は裂ける、痛みは生きている印だ
幾つ峠を越えた
何処にも故郷は無い、泣く奴は誰だ
この上何が欲しい

けれども何処かで、お前は待っていてくれる
きっと、お前は風の中で待っている