道草  小椋佳

■道草

真っ直ぐに張った糸があの日僕は好きだった
岩に似て強いモノがあの日僕にあるように
恋さへも人の弱さ許せない誤魔化しなんだと
肩張って人を責めても実り無い日々の空回り
ジッと目を閉じ今ジッと目を閉じ
心の中で琥珀に霞む思い出辿れば
浮かんでくるのは不思議と道草
数々の寄り道回り道

真実を背負うことがあの日僕は好きだった
この世には他に意味があの日僕に無いように
どんなにか闇を行こうと果ての無い深さの極みに
憧れを守袋に張り詰めた日々の空回り
ジッと目を閉じ今ジッと目を閉じ
あの気紛れとその戯れとまた過ちさへ
許しも請わずに手を振る道草
数々の寄り道回り道