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■お富さん
粋な黒塀 見越しの松に
仇な姿の 洗い髪
死んだはずだよ お富さん
生きていたとは お釈迦様でも
知らぬ仏の お富さん
エーサオー 源治店(げんやだな)
過ぎた昔を 恨むじゃないが
風も沁みるよ 傷の跡
久しぶりだな お富さん
今じゃ異名(よいな)も 切られの与三よ
これで一分じゃ お富さん
エーサオー すまされめえ
かけちゃいけねえ 他人の花に
情けかけたが 身のさだめ
愚痴はよそうぜ お富さん
せめて今夜は さしつさされつ
飲んで明かそよ お富さん
エーサオー 茶碗酒
逢えば懐かし 語るも夢さ
誰が弾くやら 明烏(あけがらす)
ついて来る気か お富さん
命短く 渡る浮世は
雨もつらいぜ お富さん
エーサオー 地獄雨
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