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R.シュトラウス 「4つの最後の歌」 |
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1946年から48年にかけて作曲された,シュトラウス最晩年の作品である。自分が親しんできた社会的・文化的遺産が,無残に破壊されていくのを目の当たりにした,老いたる自分自身の感情を表した物である。その心情を彼は大オーケストラそして最も愛したソプラノのために作曲した。(彼の妻パウリーネはソプラノ歌手であった) 少し前の彼の心情を手紙や日記から見てみたい。 「私は絶望的な気分です! 世界で最も偉大なる聖所,ゲーテの家も破壊されました! 美しい私のドレスデン,ワイマール,ミュンヘン−すべては無くなってしまいました!」 「ドイツ,1945年(身体は死すとも,魂は死なず。ルター)3月12日に栄光に満ちたウィーン歌劇場は爆撃の犠牲になった。しかし5月1日に人類最大の悲惨な期間は終わりを告げた。12年に及んだ最大の暴力の下での非道,無知,無教養の支配。ドイツの2千年にわたる文化的の発展の実りは愚弄され絶滅し,かけがえのない建物や芸術作品は,兵士たちの暴力的な群れによって破壊された。科学技術の梅毒!」 80歳も過ぎ自分の死の予感した彼は,死と物事の終焉を感じさせるこれらの詩を元に作品を作り上げた。そこにあるのは単なる絶望だけではない。かつてのロマン主義的なものへの憧れとそれが絶対に手に入ることのない悲しみ,やがて死いたる時そして彼岸の世界に至る浄化。 マーラーの交響曲第9番と共通する世界がそこに見えてくる。 |
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1946年シュトラウスはアイヒェンドルフの詩「夕映え」を読んで,その詩が自分の状況と響きあっているのに目を止めた。その後1948年からこの詩の作曲をはじめ5月6日に完成する。この頃彼はヘルマン・ヘッセの詩集を愛読しており,7月には「春」,8月には「眠りにつくとき」,9月には「9月」を短期間に完成させている。 初演は1950年5月22日,ロンドンのロイヤルアルバートホールで,フラグスタートとヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団というすばらしい組み合わせで行われた。このときの演奏は「眠りにつくとき」「9月」「春」「夕映え」の順に演奏された。現在演奏される順番に並べなおしたのは,友人であるブージーアンドホークス社のエルンスト・ロートである。また彼はこの作品に「4つの最後の歌」とも名づけた。 シュトラウスはこの作品を聴くことなく1949年9月8日スイスのガルミッシュで死去した。 |
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春 20世紀の転換期にヘッセが書いたこの作品は春のはつらつした雰囲気や喜ばしさを歌っている。たそがれ時の回想という作品全体の主題からは少し遠ざかっている。独唱者は飛翔する舟歌のような伴奏によって,上へ上へと引き寄せられていく。
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9月 冒頭の両1プルトヴァイオリンの上から下へ落ちてくる3連符は,ヘッセの詩にある木の葉や振り落ちる雨を感じさせる。段々曲は落ち着いていき疲れ果てたようにまぶたを閉じて歌声が途切れると,慰めるようにホルンの独奏が奏でられる。
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眠りにつくとき 独唱者は倦怠のため息とともに入ってくるが,休息への憧れは高まる期待とともに舞い上がり,最頂点でチェレスタのキラキラした音が彩る。やがて音は眠りを誘うように弱まっていき,魅惑的な独奏ヴァイオリンが眠りのときを告げる。そしてそれに呼応するように歌声は魂が空を駆け巡るように忘我の境地に立っている。
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夕映え そしてこの歌の中心とも言うべき曲にいたる。天国を見るような崇高きわまる別れの挨拶。家路に着くときの夕焼けを見たとき自然のあまりの美しさに呆然としたことありませんか?フルートのトリルは暗がりに羽ばたくひばりを暗示する。曲は段々物悲しくなっていき50年の歳月を経て自作の交響詩「死と変容」の1フレーズがホルンソロに表れる。やがてソプラノは「Tod?」の歌詩とともに消え去り,オーケストラは遠くで鳴いているひばりのさえずりを伴って沈みゆき死に絶えるように消えていく。
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エリーザベト・シュワルツコップのインタヴューより 「4つの最後の歌では,歌い手はある種のはかなさを伝えることも要求されます。声をはかない感じにというわけでなく,最終的には死と告別という観念に人を導くという詩句の表現として,声の中に死と消滅の可能性を暗示しておくべきでしょう。一番大事なのは,作曲家が詩句をどのように取り扱っているかを考えること。オーケストラと,楽器としての声の色彩が重要なのはそのためです。」 |
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●主要録音 シュワルツコップ,セル,ベルリン放送交響楽団 EMI ノーマン,マズア,ライプチッヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団 Philips オジェー,プレヴィン,ウィーン・フィル Telarc |
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●参考文献 「作曲家別名曲解説ライブラリー9 R・シュトラウス」 1993年 音楽の友社 「Gramophone 2000年 7月号」のMASTERCLASS CDの解説 |