○いきの数


人の息の数、西土諸家の跡おなじからず。一昼夜に一万三千五百息(一呼吸を一息とす)といへるは、古来の説なり。或は二万五千二百息といひ(天経或問)或は三万六千五百息といふ(詈意経)かくの如く大異同あるによりて、人の疑う所なり。弘賢、これを試みしに、人の長短によりておなじからず。五人試みしに、第一長大の人は一万八千六百息、其次は二万二千五百六息、至りて短小の人は、三万四千七百四息にいたれり。其次は二万二千八息、然れば古来一万三千五百といひ、多きに至りて三万六千五百息といへるも、共に偽にあらざるべし。