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音楽遺産
#10(最終回) 『Tender Love』/須藤薫(1989年)
(2006年12月30日)

ジャケット写真

レコード会社:ハミングバード
発売日:1989年11月21日



いつまでも変わらないスタンダードの魅力

 須藤薫の事をユーミン(松任谷由実)との関わりで知る人は結構いるのではないかと思う。代表曲『恋人がサンタクロース』や『サーフ天国、スキー天国』を収めた1980年の『SURF&SNOW』などに参加し、一緒にステージを共にした事もあるという。

 彼女が当時のCBSソニーからデビューしたのはその前年に当たる'79年。それから丸10年を迎えた'89年に、ハミングバードに移籍して3枚のアルバムを発表しているが、最初にリリースされたのがこの『Tender Love』である。このアルバムでサウンド・プロデュースを手がけたのが、ピチカート・ファイヴ(当時)の小西康陽だった。ピチカート〜と聞いておしゃれなポップスを思い浮かべる人も多いだろうが、このアルバムには“おしゃれな”だけで片づけられない魅力がある(ちなみに小西は、'91年の『Winter Moon』でも須藤に楽曲を提供している)。

 彼女のソニー時代の代表作に『あなただけI Love You』があるが、曲を提供したのは大瀧詠一だった。大瀧には『A LONG VACATION』というアルバムがあるが、現在も変わる事のないスタンダードとして、多くの人々に愛されている。須藤曰く、このアルバムで目指したのは“ポップスの原点”だという。『Tender Love』にあふれる魅力、それは『A LONG VACATION』に通じる、上質で豊潤なポップスの味わいだった。それは演奏やヴォーカルの良さで語る事はできない。

 デジタル・テクノロジーの発達とともに、音楽はより身近なものになっていった。その一方で、アナログ時代の音が持つ“何か”が少しずつ失われつつあるように見える。そんな時代にこのアルバムは、音楽の原点とは、そしてスタンダードとは何かを語りかけているように思う。(敬称略)

参考文献:
『ARENA 37℃・1989年12月号』(音楽専科社)、
ウィキペディア

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